2013 Fiscal Year Annual Research Report
接合界面での反応を用いたp型Ti基透明導電膜の作製
Project/Area Number |
25600040
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 和博 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (60303856)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 透明導電膜 / Ti基酸化物 / p型伝導 / 界面反応 |
Research Abstract |
これまでにCu(Ti)合金膜と種々の酸化物基板の界面反応で形成したアモルファスTiOx基反応層の構成相とその体積分率、電気・光学特性を明らかにし、p型TiOx透明導電膜形成の可能性を提案した。本研究では、ITO/ガラス基板を用いて、Cu(Ti)膜中のTiとITO膜が反応し、TiSiなどの金属相を含まないp型TiOx透明導電膜をガラス基板上に作製する成膜条件の確立と、その電気・光学特性を明らかにすることを目的とした。40 nm厚ITO膜/ガラス基板上に、RFマグネトロンスパッタリング法でCu(2~10 at.%Ti)合金膜を約300 nm厚成膜した。その試料を、超高真空雰囲気中、400℃~600℃で保持時間を変えて熱処理を行った。その結果、Cu(10 at.%Ti)合金膜を用いて400℃、6時間熱処理することで、Cu(Ti)/ITO界面に形成した反応層が成長することによりITO膜が消失し、ガラス基板上に透明膜が形成した。この透明膜はこれまでの他の基板との反応と同様に約80%以上のTiO2と残りがTi2O3からなるアモルファスTiOx膜であった。TiOx膜の可視光に対する透過率は約70%で、シート抵抗は室温で約1.0×103Ω/sq.、p型伝導を示し、キャリア密度は約1.0×1022 cm-3であった。XPS測定により、反応により溶け出したITO膜中のInやSnはTiOx膜には固溶していなかった。Cu合金膜中に拡散し、硝酸によるCu合金膜選択溶解にて除去されたと考えられる。また、Cu LMNナロースペクトルでは、金属CuとCu2O由来のピークが共存しており、TiOx膜中にCu合金膜由来のCuが少量固溶していた。このCu2O由来のCu+がp型伝導の起源と考えられる。以上、Cu(Ti)合金膜とITO/ガラス基板を用いてガラス基板上にp型Ti基透明導電膜の形成に成功した。
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Research Products
(2 results)