2013 Fiscal Year Research-status Report
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25600045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高藤 誠 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (50332086)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ハイドロゲル / 有機・無機ハイブリッド / ポリマーネットワーク / コロイダルシリカ / 無機ナノ粒子 |
Research Abstract |
ハイドロゲルは、医薬品、化粧品、衛生用品、塗料、化学工業、食品などの様々な分野におけるキーマテリアルである。本研究では、申請者らが開発したナノ粒子と反応性コポリマーとのマルチ架橋によるポリマーネットワーク形成を利用したハイブリッドゲル作製技術(ワンポットゲル作製法)を基盤として、ナノレベルおよびマイクロレベルでヘテロ構造化されたハイドロゲルマイクロ粒子の作製を目的とした。 ゲルネットワークの形成に及ぼす反応性コポリマーおよびナノ粒子の各パラメータの影響を調査した結果、反応性コポリマーの重合度、共重合組成比、濃度ならびにナノ粒子の粒子径、濃度に依存してハイドロゲル化時間が大きく変わることが確認された。また、ハイドロゲルの圧縮強度を測定した結果、これらのパラメータに依存してモジュラスが変化することが確認された。つまり、ハイドロゲルの組成を変えることで、容易に物理強度の異なるハイドロゲルをライブラリー化することに成功した。通常の化学架橋ハイドロゲルと比較して高いエラスティシティーを示すことが明らかとなった。また、熱応答性をもつポリマーを主鎖として採用した場合、相転移温度付近で急激な体積収縮が観察された。この体積収縮を利用した薬物の放出実験をモデル的に行った結果、通常の化学架橋ハイドロゲルと比べると、放出率が高いことから、ポリマーネットワーク構造が均質に形成されていることが推察された。 ハイドロゲルからのマイクロ粒子作製を懸濁粒子化法により行った結果、数10~数100ミクロンのゲルマイクロ粒子を得ることに成功した。次年度は、ゲルマイクロ粒子のサイズ制御、構造制御に関する検討を行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、反応性ポリマーとシリカナノ粒子から形成されるハイブリッドハイドロゲルのゲル化能に及ぼす各種条件について検討するとともに、その物理的強度や熱応答性に関する基礎的研究を実施した。今年度得られた実験データを元に、次年度以降、ハイドロゲルのマイクロ粒子作製とサイズ、構造の制御について検討する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノ粒子をマルチ架橋点とするハイブリッドゲルにおいて,ナノ粒子と反応性ポリマーの組成,組合せ,濃度を変えることで,ヘテロ構造をもつハイブリッドゲルを作製する。ゲルマイクロ粒子内で膨潤度や刺激応答性性や外部刺激(熱や溶媒)によるネットワーク構造を局所的に制御する手法を確立するとともに,様々なタイプのヘテロ構造化ゲルマイクロ粒子の作製に挑戦する。具体的な実施内容は以下の通りである。 A)複数の反応性コポリマーを用いたゲルマイクロ粒子のヘテロ化:異なる特性をもつ複数の反応性コポリマーを用い,ハイブリッドゲルマイクロ粒子のヘテロ構造化を行う。例えば,温度応答性をもつ反応性ポリマーとリガンド部位をもつ反応性ポリマーを組み合わせることで,温度に応答してゲスト分子を放出,吸収するデュアル機能型ゲルマイクロ粒子の作製が可能になる。 B)機能性ナノコロイドを用いたゲルマイクロ粒子のヘテロ構造化:ゲルネットワークのマルチ架橋点として用いるナノコロイドを,磁気応答性や蛍光性をもつナノコロイド,さらに申請者らが開発した自己集合性ナノ構造体(Langmuir, 2009, Tetrahedron, 2007)を架橋点とすることで,刺激応答性,自己修復性などの機能をもつゲルマイクロ粒子を作製する。 C)コア部,シェル部のネットワーク構造の制御によるゲルマイクロ粒子のデュアル構造化:ゲルマイクロ粒子作製時のサスペンション媒体や反応性ポリマー添加のタイミングを制御することで,内部ネットワークの密度が異なるヘテロ構造化ゲルマイクロ粒子の作製を試みる。ナノ粒子が粒子内部に閉じ込められたポリマーコロナ型のゲルマイクロ粒子や粒子の外側にナノ粒子が集積化したコア・シェル型のハイブリッドゲルマイクロ粒子を作製する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度に光学顕微鏡用の加熱・冷却ステージを導入計画であったが、温度などの外部刺激に対するゲル特性の評価は、光散乱装置、薬物リリースのモデル実験等を行うことで評価したため、導入を中止した。 ハイブリッドゲルの機能化をさらに行うこととし、そのための試薬、器具類を購入するとともに、研究成果報告、情報収集のための旅費として計上する計画である。
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Research Products
(6 results)