2013 Fiscal Year Research-status Report
CuSnナノツリーの形成機構の解明と制御及び超高性能ガスセンサ応用の研究
Project/Area Number |
25600048
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
新宮原 正三 関西大学, システム理工学部, 教授 (10231367)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
夛田 芳広 室蘭工業大学, 理工学研究科, 研究員 (30637202)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ナノツリー / デンドライド / 樹枝状結晶 / ひげ結晶 / 電解めっき / CuSn合金 |
Research Abstract |
CuSn合金めっき技術を研究する過程において、我々はナノツリー構造を見出した。これは直径数十nmの枝が次々と直交して分岐してあたかもツリーのような構造となったものである。まずCuイオンとSnイオンを含むめっき浴において、下地Pt電極上でのCuSn合金めっき膜の構造のめっき電位依存性を評価したところ、めっき電位により形成した膜の形状が著しく異なることが明らかとなった。 めっき電位が-0.59Vのときには針状の結晶が成長していたのに対し, -0.60Vでは枝分かれしてナノツリー構造が得られ、またわずかに電位を下げて-0.61Vとした場合, ナノツリーの枝分かれはみられたが、直径方向への成長が起こり, 枝が太くなった。このように, ナノツリー構造が得られる電位は非常に狭い範囲であることがわかった。 また、ナノツリーが得られた試料の元素分析をEDXで行ったところ, Cu:Sn=81:19となった. Cu-Snの2元合金ではCu4Sn1という相が存在するが、ナノツリーはその組成からわずかずれた元素組成である。ナノツリーの一本一本の枝について透過電子顕微鏡観察を行ったところ、単結晶でありまた立方格子の中に長周期構造が混在した複雑な結晶構造であることが分かった。また、サイクリックボルタンメトリ測定において、ナノツリーが形成される電位付近では電流―電位特性が負の微分抵抗を持つような形状となっていることが示され、ナノツリー形成と負の微分抵抗特性とが何らかの相関関係を持つことが示唆された。また、めっき時の溶液撹拌強度を変えると、ナノツリーの枝分かれ方が変化することも示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は①ナノツリー構造の再現性ある形成条件を確立すること、②ナノツリーの結晶構造を解明し、また③形成機構を明らかにすることなどが目標だった。これらのうち①と②の項目はほぼ達成されたので順調な成果が上がったと判断できる。 また③についてはまだ十分に明らかになったわけではないが、添加剤の結晶構造に対する効果の解明の実験が現在進行中であり、ある程度の進捗が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はナノツリーの形成機構の解明をさらに進めるため、添加剤を複数選んでナノツリー形成に与える添加剤の効果を調べ、また更なる結晶構造の詳細な同定を透過電子顕微鏡観察、電子線回折、X線回折などの評価法を駆使して行う予定である。 また、ナノツリーの応用面では、ナノツリーの体積と表面積の定量化を進めるとともに、バッテリー電極への適用性の基礎検討を行う。 また、水素や一酸化炭素などの危険ガスに対するセンサー特性を評価すべく、ナノツリー酸化物を形成し、その電気伝導特性の雰囲気ガス依存性を調べる予定である。
|