2013 Fiscal Year Research-status Report
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25600049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 佳則 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20386634)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DNAシーケンサー / 表面増強ラマン散乱 / マイクロチップ / 普及型DNAシーケンサー |
Research Abstract |
普及型の使い捨てDNA/RNAシーケンサチップを実現するために本年度はssDNA/RNAを伸張するナノ構造の作成とナノ構造の評価のための光学系、画像処理のためのシステムの構築を行った。DNA/RNAの検出には、散乱分光法の一つであるラマン散乱を用いる。さらに、DNA/RNAの単一分子での測定を行うためには、ナノ構造の表面における表面増強効果(プラズモン効果)を利用することで単一分子感度、および、核酸の塩基一分子の測定を可能とする。平成25年度はラマンイメージングのシステムの構築とDNA/RNAシーケンサチップの基本原理であるナノ構造を持つプラズモン基板の作成を行った。ラマンイメージングはナノ構造の表面をレーザーをスキャンすることによって各レーザー焦点から得られるラマンシグナルを分析し、DNA/RNAの塩基の単一分子の検出を行い、それを画像化する。そのために、顕微鏡を母体としてレーザーシステム、電気泳動システム、画像分析システムの実験装置の構築を進めた。レーザーシステムについては、高輝度水銀ランプにより特定の波長域でのナノ構造面への照射を確認し、イメージングが可能とした。電気泳動システムについ、DNAを完全に伸張させるための緩衝液、有機溶媒を検討し、さらに印加電圧についてDCおよびACでのDNAの動態を研究した。イメージング分析については、得られた画像分析のアルゴリズムの開発を進め、動画における画像フレーム間の差分におけるラマンスペクトルの画像分析方法を開発している。又、関連研究として、肝葉系肝細胞の分化過程をラマン分光の方法を用いてイメージングを行い、石灰化による骨芽細胞への分化による細胞組織の変化を経時的に定量分析することを行った。さらに、関連研究としてDNAをナノ構造体に導入するためのマイクロポンプシステムの内部動力源として自励振動ゲルを用いる研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
普及型の使い捨てDNA/RNAシーケンサチップの基礎実験を行うための装置、光学系の構築、画像分析アルゴリズムのプログラミングはほぼ完了した。したがって、平成25年度に想定していいた部分までは完了した。一方で、問題点も明らかになった。光源について、レーザー光源を使用するのではなく、高輝度水銀ランプを使用することによって、出力については十分であったが、波長精度が良くないことがわかった。この点を高級なフィルターを使用するなどして改善する必要がある。ラマン散乱検出用の検出器(カメラ)について、単一分子を検出するには、フレームレートの早いカメラが必要である。単一分子の表面増強ラマン散乱は、ブリンキングと呼ばれる数ミリ秒での点滅により検出される。その点滅を検出するには、フレームレートの早い検出器が必要である。この点について、現在、他大学の検出器の使用を検討中である。ナノ構造を持つ、ナノ剣山の作成については、ガラス表面のウェットエッチングによる方法について着実に手法が形成されつつある。この方法は使い捨て型のチップを大量に生産する際にもそのまま応用できる。電気泳動の部分 について、出力の小さい、200V/0.01A程度、9V駆動の電源を使用してDNAの伸張を行うことが出来ることを示した。この小型電源は重さが50g以下であり、将来の携帯型の分析装置にそのまま応用可能である。加えて、細胞分化のラマンイメージングと自励振動型の動力源を用いたDNA送液システムを新規に派生させ、装置全体の小型化に向けての研究開発を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も当初の計画通りにすすめる。光学システムの構築に関しては計画の前倒しにより当初計画していた内容が少しすすんでいるが、高輝度水銀ランプや高速度カメラの組み合わせを検討し、DNA/RNAの伸張反応、表面増強ラマン散乱による検出を行う。 構築した表面増強ラマン散乱システムを利用して、独自技術のSERS剣山を用いて、基礎研究を進めます。まずは10塩基程度の大きさのDNAを合成し、それらを用いて分析を行い、塩基の定性、定量を検討する。目標として、100塩基程度のssDNAの塩基の定量分析、4つの塩基の混合比率の表面増強ラマン散乱による検出を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
バイオサンプル、酵素の価格に差額が生じたため 今年度のバイオサンプルの購入の際に加算して使用する。
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Research Products
(4 results)