2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25600051
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐甲 靖志 独立行政法人理化学研究所, 佐甲細胞情報研究室, 主任研究員 (20215700)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 1粒子追跡 / ナノプローブ / 細胞内環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノメートルサイズの単粒子の運動を細胞質溶液内で可視化計測した。細胞質での生体高分子間の化学反応は、分子混雑、局所閉じ込め、細胞質流動、遷移的な粒子間相互作用などによって、単純なブラウン運動(熱拡散)からは、相当に逸脱している可能性が示唆されており、そのような逸脱は、分子間の反応キネティクスに様々な影響を与え、細胞機能に影響する可能性がある。 直径50 nmの蛍光シリカ粒子を、ヒト肺癌由来の培養細胞MCF-7に電気穿孔法により導入し、高速カメラを接続した蛍光顕微鏡を用いて、細胞質内の1粒子運動を1 msのフレームレートで観測した。FCSによる可動粒子の平均運動計測では、粒子は1 um2/sの側方拡散係数を持って、~0.1 um3の計測空間近傍を単純拡散運動していることが分かっている。1粒子可視化計測では、可動粒子の運動を平均60 ms追跡できた何らかの細胞質内構造に固く吸着したと考えられる約3割の静止成分を除外すると、6個の細胞から994個の可動粒子の運動を観測して、それぞれの粒子の運動モードとパラメータ値を推定した。その結果、単純拡散成分が56%で拡散係数が0.86 um2/s、平均50 msの計測時間中には410 nmの範囲を運動する。他の25%は100 nmの範囲に閉じ込められて拡散係数17 um2/s(この値はover estimationの可能性が高く、位置精度の向上が必要である)で運動しており、残りの20%は半値全幅80 nmのポテンシャル中で0.3 pN/nmのバネに繋がれた拡散運動を行っていると推定された。輸送速度を持つ運動をする粒子は観察されなかった。単純拡散およびバネ拡散運動から細胞質の粘度は0.01 Ps*sと求められ、水の10倍の値であった。以上の結果は、細胞質内の構造・環境の多様性を示している。
|
Research Products
(6 results)
-
-
[Journal Article] Positive feedback within a kinase signaling complex functions as a switch mechanism for NF-B activation2014
Author(s)
Shinohara, H., Behar, M., Inoue, K., Hiroshima, M., Yasusda, T., Nagashima, T., Kimura, S., Sanjo, H., Maeda, S., Yumoto, N., Ki, S., Akira, S., Sako, Y., Hoffman, A., Kurosaki, T., and Okada-Hatakeyama, M.
-
Journal Title
Science
Volume: 344
Pages: 760-764
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-