2013 Fiscal Year Research-status Report
表面プラズモン増強効果を利用した細胞内分子マニピュレーション手法の開発
Project/Area Number |
25600052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
細川 千絵 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (60435766)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光ピンセット / ナノバイオ / 表面プラズモン / 神経細胞 |
Research Abstract |
本研究では、表面プラズモン増強効果を利用した新規光マニピュレーションにより、細胞表面の分子のみを局所的に操作するマニピュレーション技術を開発する。蛍光解析と組み合わせることにより、細胞内の特定分子の拡散、会合、反応特性を明らかにし、細胞内の高次操作技術へと発展することが期待される。本年度は、光ピンセット用近赤外レーザーとプラズモニックチップとを組み合わせた蛍光解析システムを構築し、蛍光色素含有ポリスチレンナノ粒子を用いてプラズモニックチップの有効性について検証した。プラズモニックチップとして、カバーガラス上にピッチ500 nmの二次元周期構造を作製し、金属層(銀)と消光抑制層(シリカ層)を成膜したものを用いた。粒径40 nmの蛍光性ポリスチレンナノ粒子水分散液をカバーガラスに摘下し、スペーサーを介してカバーガラス、もしくはプラズモニックチップにより封入する実験系を構築した。カバーガラス表面に光ピンセット用レーザーを集光すると、レーザー集光領域において粒子からの二光子励起蛍光が検出され、蛍光相関分光測定により単一ナノ粒子の拡散運動の計測が可能であることを確認した。次に、ナノ粒子水分散液を封入したプラズモニックチップ表面にレーザーを集光すると、カバーガラスでの結果と比較して、レーザー集光領域における粒子運動が遅くなり、より強く束縛されることを見出した。以上の結果から、表面プラズモン共鳴効果に基づいて光捕捉力が増大した可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画に基づいて研究が遂行され、プラズモニックチップに光ピンセット用近赤外レーザーを集光する実験系を構築し、蛍光色素含有ナノ粒子を用いた評価を進めた。以上の成果から、本年度は研究計画に沿って順調に研究が進展したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた知見に基づき、蛍光性ナノ粒子を用いた検証を引き続き進める。さらに、プラズモニックチップ上で培養した神経細胞表面に局在する分子群の集合操作についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究に関わる経費の削減、および効率的な使用により生じた。 翌年度分として請求した研究費と合わせることにより、プラズモニックチップやレーザー照射手法の改良のための必要経費として使用する予定である。
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