2013 Fiscal Year Research-status Report
有機高分子薄膜による医用圧電ナノアクチュエーター材料の開発
Project/Area Number |
25600063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
吉木 啓介 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60432548)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コラーゲン / 電気化学法 / 液晶 |
Research Abstract |
コラーゲン薄膜を形成するために,クラスタイオンによるスパッタを行ため,スパッタ実験のターゲットの作製を行った.作製手法は2通りを試行し,1つは電気化学法を用いたコラーゲン線維材の作製,もう1つはコラーゲン液晶によるシート材の作製である.両者の違いはコラーゲン分子同士の結合状態であり,pHが中性を示す条件下で生成された前者のコラーゲンは分子同士が架橋を形成する.そのため,この状態で乾燥したコラーゲンをスパッタリングしても薄膜の形成が起こらない可能性がある.そこで,より弱い分子間結合で配向している液晶状態のコラーゲンであれば,ターゲットとして成膜の成功率が上がる可能性があると考え,後者も試行した.その結果,いずれの手法によってもコラーゲンが配向した構造が偏光顕微鏡によって確認され,今後,これを乾燥することで成膜のためのターゲットが完成する.また,当初考えていた腱組織は,架橋構造が強固で,薄膜作製のためのターゲットに使用するには難しいという結論に至った. また,作製した試料を乾燥する超臨界圧力容器も開発した.これは,ドライアイスを用いて超臨界二酸化炭素を生成する装置で,コラーゲンに含まれる水分をコラーゲンの構造を破壊することなしに除去することができる.圧力は圧力調整容器を接続して調整し,温度は恒温槽の中に設置することによって温度,圧力を臨界点近傍に保つ構造になっている.また,装置は顕微装置が付いており,コラーゲン線維の状態を目視で確認しながら乾燥を行うことができる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
装置を作製するため,模型用の部品を多く流用した.部品のサイズがちょうどよく,かつ,工業用の製品では類似のサイズのものが無かったためだが,模型用は寸法の詳細が公開されていないため,購入,採寸を繰り返す必要があった.かつ,購入は小売店からがほとんどで,立替払いも多くなり,手間がかかった.本来であれば,既に成膜装置へ試料を導入している時期であるが,実際には乾燥工程の実施ができていない.
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Strategy for Future Research Activity |
凍結乾燥,もしくは超臨界乾燥によって作成時の状態を保ったまま乾燥する.これは,自然乾燥では,ナノ構造が破壊される可能性があるためである.乾燥後,スパッタリングによる成膜を試みる.
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