2013 Fiscal Year Research-status Report
イオン液体を用いた昇華-再結晶ハイブリッド型有機材料精製プロセスの開発
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25600074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松本 祐司 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60302981)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有機半導体材料 / イオン液体 / 精製技術 |
Research Abstract |
本研究課題は、高品質な有機単結晶・薄膜を得るために、申請者が独自に研究・開発を進めてきたイオン液体を介した真空蒸着プロセスを、その結晶成長に伴う高温・真空下での溶解と析出のサイクルである再結晶過程を、従来の昇華精製プロセスと複合化し、低分子の有機半導体材料を精製するハイブリッド技術を開発することである。 H25年度は、主に計画1の「昇華-再結晶ハイブリッド型精製炉の開発」についてその基本設計・仕様を策定した。温度勾配をつけた管状炉内で有機原料を蒸発させ、キャリアガスとともにイオン液体中に通じ、イオン液体中で有機原料を析出させるものである。申請当時は、横型の気相化学輸送法に類似した装置にイオン液体を通ずる部分を付け加えたようなものであったが、実際に具体的な仕様、設計を行う段階で、収率をあげ、構造の複雑さを回避するため、縦型とし、ほぼ設計を修了し、H26年度初めに装置を導入予定である。 一方、計画2「イオン液体を介した真空蒸着装置による予備検討」では、実際にイオン液体を介した真空蒸着装置を用いて、ペンタセンだけでなく、フラーレンやその他有機EL材料を、真空チャンバー内に予めセットされたイオン液滴に蒸着した。特に有機EL材料では、イオン液体中で析出し、赤外分光により評価を行ったところ、分解せずに結晶化することが確認され、有機EL材料に対してもイオン液体中での再結晶による精製が可能であることが原理的に示された。また、評価では、イオン液体中で蒸着析出させたペンタセンについて、学内のMALDI-TOF-MSを用いて、不純物やイオン液体の判定量的な分析についても検討を行い、評価法として活用できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昇華-再結晶ハイブリッド型精製炉の開発について、H25年度内の装置導入はできなかったが、仕様・設計はほぼ終了し、H26年度初期に導入できるため、研究進捗に与える影響は実質的にほとんどない、と判断されるため。 また、イオン液体を介した真空蒸着装置による予備検討では、ほぼ計画通りに進展したと判断されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
昇華-再結晶ハイブリッド型精製炉をH26年度早々に導入し、有機EL材料の精製が実際に効率よく達成されるのかどうかを検証していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初想定していた昇華-再結晶ハイブリッド型精製炉の仕様・設計が遅れ、年度内に導入できなかったため。 昇華-再結晶ハイブリッド型精製炉の仕様・設計はすでに終えているので、H26年度早々に装置を導入する際に使用する。
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