2014 Fiscal Year Annual Research Report
逆スピンホール効果を利用したトポロジカル絶縁体中の純スピン流の計測
Project/Area Number |
25600076
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白石 誠司 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30397682)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スピンエレクトロニクス / トポロジカル絶縁体 / スピン偏極 |
Outline of Annual Research Achievements |
バルク絶縁性を有するものとしては当時唯一の3次元トポロジカル絶縁体であったBiSbTeSeを用いて、その表面スピン偏極を電気的に観測することに世界に先駆けて成功したことが最大の成果である(Nano Letters誌掲載)。残念ながら、動力学的手法を用いるアプローチは本研究期間中には成功しなかったが、それはスピン源であるNiFeが動力学的手法において自発的な逆スピンホール効果による起電力を発生することを代表者自身が見出した(Physical Review B誌掲載)ため、当初の研究計画を変更することになったためである。現在までにこの効果に気づかずに遂行・出版された研究は数多いが、近年これまでの研究成果の見直しが世界的にも急ピッチで続いている。これもまた本提案の副次的成果と言える。 また本提案のもう1つの副次的成果はBiSbTeSeに次ぐ、第二のバルク絶縁性3次元トポロジカル絶縁体TlBiSeの発見とそのトポロジカル性の確認、更に世界初の大気安定ホールキャリアのトポロジカル絶縁体相の確認である(Physical Review B, Rapid Communications誌掲載)。TlBiSeはBiSbTeSeよりもバルクギャップが大きく、今後のトポロジカル絶縁体スピンエレクトロニクスの更なる発展の基盤材料となりうる材料である。 以上の成果は高く評価され、国際会議において共同研究者である助教、PD各1名が講演奨励賞などを受賞するに至った。
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