2013 Fiscal Year Research-status Report
金属/有機半導体界面を利用した大面積高感度フレキシブル圧力センサの開発
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25600078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
野内 亮 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 講師 (70452406)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 圧力センサ / 電荷注入障壁 / 有機半導体 / 電極仕事関数 / 自己組織化単分子膜 |
Research Abstract |
本研究は、新しい原理に基づくことにより、フレキシブル圧力センサの高感度化を目指すものである。本研究で開発するセンサは、研究代表者がこれまでに進めてきている電極/有機半導体界面における電荷注入障壁の外部電場による変調効果を発展させ、圧力による電荷注入障壁制御により実現するものである。より具体的には、電極表面修飾層として用いる自己組織化単分子膜(SAM)の構造スイッチングを外場により起こし、結果として生じる電荷注入障壁の変調に伴う電気抵抗変化を利用する。 上記の目的達成のため、まずはSAMで修飾した電極を用いて縦型積層膜(SAM修飾電極/有機半導体/電極)を作製し、圧力印加による電気的特性の変化を調査した。当該積層膜に一軸性の圧力を印加し、電気的特性の変化を確認しようとしたが、低い圧力の再現性の良い安定的な印加において問題が生じており、電気的特性の系統的な変化はまだ得られていない。これまでに圧力印加機構の見直しを行い、より安定的な印加が可能な機構で近々再挑戦予定である。 また、相補的な情報が得られると期待されたため、これまでに進めてきている外部電場による電荷注入障壁変調効果について更に調査を行った。特に、SAM構造変化に必要な電界強度についての知見を得ることで、どの程度の圧力により構造変化が起こりうるかについて調査した。これまでに、積層膜全体ではなくSAM部分のみにかかる電圧を理論モデルと実験結果を併せることで見積もり、おおよそ2~3 V程度あればスイッチング可能であることを見出している。これは圧力センサの駆動電圧を検討する際に重要な情報となると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
圧力印加による電気的特性の系統的変化は、圧力印加機構が定まらず当初の計画通りの進展は得られなかった。しかし、SAM修飾電極/有機半導体/SAM修飾電極の構造の素子に外部電圧を印加した場合に、SAMにおいてどれぐらいの電圧降下があるかが自明でなかったが、理論モデルを構築することで、実験結果からの見積もりに成功している。本研究で開発する新原理に基づく圧力センサは、圧力印加に伴う電気抵抗の変化を検出するものであるため、動作時には駆動電圧を常に印加することになる。それの目安となる値が示されたことは、当初の計画にはなかった進展である。以上を総合的に判断し、上記の自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立できなかった安定的な低圧力印加機構に関しては、ほぼ目処が付きつつあるため、今後迅速に圧力印加による電気的特性の変化について確認する。それと同時に、これまでに進めてきている外部電場による電荷注入障壁変調効果について更に調査を行うことで、SAM分子構造の外部電場による変化について包括的な理解を得る。それにより、圧力センサの駆動電圧がSAM構造に及ぼし得る効果についての知見が蓄積されるため、圧力センサ動作の総合的な理解が可能になると期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末の端数合わせをしなかったために生じたごく僅かな差額である。 次年度使用額はごく僅かであるため、使用計画の変更はほぼしない。消耗品購入量の僅かな調整のみの予定である。
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Research Products
(2 results)