2014 Fiscal Year Annual Research Report
金属/有機半導体界面を利用した大面積高感度フレキシブル圧力センサの開発
Project/Area Number |
25600078
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
野内 亮 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 講師 (70452406)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 圧力センサ / 電荷注入障壁 / 有機半導体 / 電極仕事関数 / 自己組織化単分子膜 / 分子スイッチ / プッシュバック効果 / 双極子効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新しい原理に基づくことにより、フレキシブル圧力センサの高感度化を目指すものである。本研究で開発を目指すセンサは、研究代表者がこれまでに進めてきている電極/有機半導体界面における電荷注入障壁の外部電場による変調効果を発展させ、圧力による電荷注入障壁制御により実現するものである。より具体的には、電極表面修飾層として用いる自己組織化単分子膜(SAM)の構造スイッチングを外場により起こし、結果として生じる電荷注入障壁の変調に伴う電気抵抗変化を利用する。
今年度はまず、本研究における素子構造である電極/半導体/電極において、どのような電気的特性が得られるか、理論的考察を行った。特に、二つの電極/半導体界面における電荷注入障壁に対して外場により差異を導入した場合について着目した。それにより、実験的に得られた単一の電流電圧特性のみから、両界面における電荷注入障壁の高さといった重要な界面パラメータを抽出する方法を見出した。
次に、SAMの構造スイッチングが電荷注入障壁変調へとつながるメカニズムの解明をめざし、種々のベンゼンチオール誘導体をSAM分子として用いて包括的な理解を試みた。それにより、スイッチング方向は、SAM分子が有する永久双極子に関して、その全体としての向きではなく、結合基(チオール基)が有する永久双極子の向きにより決まることが分かった。特に、結合基の傾きに伴うプッシュバック効果がその主体であることを明らかにした。そのことは同時に、結合基の反対側に存在する末端基が、スイッチング方向を決めるほどの効果は持たず、スイッチング強度を変調する程度であることを意味している。また、結合基を複数有する分子の方がスイッチング強度を高くできることを確認した。
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