2013 Fiscal Year Research-status Report
電気化学発光セルを用いた有機スピントロニクスの創製
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25600080
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Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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| Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
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Principal Investigator |
小野 新平 一般財団法人電力中央研究所, 材料科学研究所, 主任研究員 (30371298)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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| Keywords | 電気化学発光セル / 有機スピントロニクス / スピンポンピング / 有機半導体 / イオン液体 |
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| Research Abstract |
本研究の目的は、多様な有機分子材料への電気的スピン注入を自在に制御し、その特性を光学特性で評価する手法の確立し、その背景に眠るサイエンスの理解と応用展開を目指すことである。今年度は、電気化学発光セル（LEC）を用いた有機スピントロニクスデバイス及びスピンポンピングによるスピン注入の実験を試みた。
１、LECは、有機発光ポリマーと電解質の混合材料を電極で挟むだけのシンプルな構造の発光デバイスであるが、今回、電極として磁性電極を用いることで有機材料へのスピン注入を目指した。得られた結果として、磁性電極を用いた場合にも、2.5V程度でLECが発光をはじめることを観測した。電極材料の仕事関数と有機発光ポリマーのエネルギー順位が異なるに関わらず、有機発光ポリマーのバンドギャップ程度のエネルギー(2.4eV)でLECが発光することは、LECが電気化学反応により電荷注入が行われるためであると言える。しかし現時点では、得られた発光特性からスピン注入の有無およびスピン伝導の評価を行うことはできなかった。
２、有機半導体に対して、微小磁性体の磁化歳差運動に起因したスピンポンピングを利用して、スピン角運動量を有機半導体中にトランスファーし、スピン注入を行った。有機半導体として、最も移動度が高いことが知られているルブレン単結晶を用いた。得られた結果として、強磁性共鳴スペクトルの測定を行い、明瞭な共鳴ピークが観測した。また外部磁場変化によるピークシフトも確認され、有機半導体にスピン注入が行えていることを示唆している。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点では、電気化学発光セル、及びスピンポンピングによるスピン注入の２つのテーマより有機半導体へのスピン注入の実験を行っている。電気化学発光セルの実験では、磁性電極を利用した場合にも発光を観測し、残すは、磁場中での光学特性の評価を行うだけである。また、スピンポンピングの実験では、デバイスの作製が行える様になり、強磁性共鳴スペクトルが得られるところまで研究は進捗しており、おおむね順調に研究は進展している。
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| Strategy for Future Research Activity |
昨年度から引き続いて電気化学発光セル及び、スピンポンピングによるスピン注入の２つの研究テーマから有機半導体へのスピン注入の研究を進めていく。まず電気化学発光セルの研究では、磁性電極を用いた発光セルを用いて、磁場中での光学特性の評価を行っていく。光学遷移選択則を利用した光学評価からスピンが注入されていることの確認と、分子内のスピン伝導の評価を行っていく。特に、有機分子材料のスピン拡散長や緩和時間などの特性に注目し、有機半導体材料におけるスピンの伝導機構の原理解明を行う。また磁場により発光強度を自在に操る新規有機スピントロニクスデバイスの作製を行う予定である。またスピンポンピングによるスピン注入の実験では、現時点で強磁性共鳴スペクトルが得られる所まで研究が進捗しており、今後は、デバイス構造を最適化することで、スピン注入の検証、逆スピンホール効果による有機半導体におけるスピン伝導、ゲート電界によるスピン伝導の制御の測定を行っていきたい。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
電気化学発光セルの作製に不可欠な有機発光ポリマー材料の購入を計画していたが、納期が間に合わないことが判明したため、次年度に繰越を行った。
予定通り、2014年度に有機発光ポリマーの購入を行う。
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