2014 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学発光セルを用いた有機スピントロニクスの創製
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25600080
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
小野 新平 一般財団法人電力中央研究所, 材料科学研究所, 主任研究員 (30371298)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電気化学発光セル / 有機スピントロニクス / イオン液体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機分子材料への電気的スピン注入を自在に制御し、その特性を評価する手法を確立し、その背景に眠るサイエンスの理解と応用展開を目指すことを目的に研究を行った。今年度は、電気化学発光セル(有機発光ポリマーと電解質の混合材料を電極で挟むだけのシンプルな構造の発光デバイス)を用いて、有機スピントロニクスデバイスの可能性について検討を行った。 1)電気化学発光セルの電極に磁性材料を用いたデバイスを作製し、磁性材料からのスピン注入を試みた。磁性材料のスピンの向きを揃えるために、磁場を印加したところ有機発光ポリマー自体が100G程度の小さな磁場で大きな磁気抵抗を持つことが明らかになり、スピンが注入できているのか検証することができなかった。したがって、電気化学発光セルを利用した有機スピントロニクスデバイスが実現できるかは明らかにすることができなかった。 2)ただし副産物として、電気化学発光セルの磁気輸送特性の評価を行った結果、発光する前後(自己組織PN接合の形成の前後)の電圧で、磁気輸送特性が、正の磁気抵抗から負の磁気抵抗へ変化する様子を観測した。これは、発光の前後で異なるメカニズムで磁気抵抗が誘起されることを示唆している。 この様に、有機スピントロニクスデバイスの可能性は検証することができなかったが、電気化学発光セルの磁気輸送特性の研究や、量子ドットを使った新しい発光デバイスの作製など、多くの副産物があり、今後も研究を進めていく予定である。
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Research Products
(5 results)