2013 Fiscal Year Research-status Report
シリコン融液表面の放射冷却による薄板状結晶成長とガスフロートへの挑戦
Project/Area Number |
25600084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宇佐美 徳隆 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20262107)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シリコン / 太陽電池 / 放射冷却 |
Research Abstract |
本研究では、シリコン融液の放射冷却により太陽電池基板として利用可能な薄板状結晶を連続的に製造するアイディアの実証を試みている。具体的には、シリコン融液の表面を上部空間から放射冷却を行うことで、熱のマネジメントを行い、融液表面に薄板状の結晶を成長させる基礎検討を行う。さらに、成長した薄板状結晶を、気体を均質に噴出させた多孔質材(ガスベット)上に引き出し、浮上保持させる。本年度は、放射冷却による薄板状シリコン結晶成長装置と、ガスフロート法による薄板状シリコンの保持を実証する装置の整備を主たる目的とし、成長装置の問題点の把握とその対策を行うとともに、薄板状シリコン結晶成長の制御因子を解明するための基礎研究を開始した。 結晶成長装置は、1450℃までの昇温が可能であり、シリコンを溶融する熱環境が安定して実現できることを確認した。しかし、シリコンの溶融を行う予備実験の過程において、ルツボ内のシリコン融液表面に不均一核形成の原因となる粉状の物質が浮遊することが問題となった。粉状の物質の成分分析の結果、断熱材起因であることが明らかとなり、その表面状態を改善するとともに、ルツボに汚染防止機構を導入することで対応することとした。また、当初試作したガスベッドの流路抵抗が、高温環境では増大し、ガスの流れが十分でないという問題が生じた。この問題に対しては、いくつかの部材に対して実際に流路抵抗特性を実測し、高温耐性があり、かつ抵抗値の低い部材を選定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射冷却による薄板状シリコン結晶成長装置と、ガスフロート法による薄板状シリコンの保持を実証する装置の整備を行うという初年度計画については、おおむね順調に実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
放射冷却による薄板状シリコン結晶成長の成長実験を継続して行うとともに、ガスフロート法による薄板状シリコン結晶の保持の実証と、成長した薄板状シリコン結晶の太陽電池用基板としての特性評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者の異動による研究設備移設などの影響で、研究が実施できない期間が生じたため。 結晶成長実験の部材、雰囲気ガス、化学薬品、原料などの消耗品を中心に支出する予定である。
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