2013 Fiscal Year Research-status Report
磁場値計測・近接場磁気力顕微鏡の開発と高性能磁石材料の高分解能磁区観察への適用
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25600092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
齊藤 準 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00270843)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 磁気力顕微鏡 / 磁場計測 / 磁区観察 / 磁石材料 / 高分解能 |
Research Abstract |
汎用機器である磁気力顕微鏡は、空間分解能は優れるものの磁場勾配を検出しているので定量性に難があった。本研究では、磁場の絶対値を計測する新たな磁気力顕微鏡の開発ならびに永久磁石材料への応用を目的とし、初年度である平成25年度は以下の成果を得た。 1.磁場値検出・近接場磁気力顕微鏡の試作:本研究のベースとして用いる我々が新規に開発した近接場磁気力顕微鏡に、高性能磁石材料を観察する際に有利となる、零位検出のフィードバックに適した、大きな直流磁場(2次試作コイルで、磁極直上で10 kOe)を探針に印加できる電磁石、および磁気力検出用の大きな交流磁場勾配を発生できるヘルムホルツ型交流コイルを設置した計測システムを試作した。これによって、試料表面上で交流磁場値がゼロ、交流磁場勾配が最大となる配置を実現させた。 2.高感度・常磁性探針の試作:本手法の計測感度向上に有効な高磁化率の常磁性探針の探索を行った結果、3d遷移金属をベースにした超常磁性合金で、室温において極めて高い磁化率4.5×10-7 H/m(単一元素で最大のPdの50倍)が得られ、この合金をSi探針母材に成膜して探針を作製し, 膜面垂直方向に直流消磁を施したFePt磁石厚膜の観察を行い、垂直方向の直流磁場の強度像および極性像の取得に成功した。 3 零位検出・フィードバック回路の試作:本手法を用いて試料磁場値の2次元マッピングを行う際には、探針を試料表面上で走査させながら外部から印可する直流磁場をフィードバック制御し、制御エラー値を試料の磁場値として計測する。そこで、電磁石に印加する直流電流の比例・積分制御を行うフィードバック回路をプローブ顕微鏡メーカーと共同で作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の磁場値検出・近接場磁気力顕微鏡で用いる高感度・常磁性探針の開発に関して、成果があった。また、当該顕微鏡の試作でも、大きな直流磁場を印加できる電磁石の近接場磁気力顕微鏡への組み込みで成果があった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の計画で掲げた、1)磁場値検出・近接場磁気力顕微鏡の改良・調整、2)磁場値検出・近接場磁気力顕微鏡を用いた高性能永久磁石等の高分解能磁場イメージング、を確実に進める。その際の課題と対応策は以下である。 課題①検出感度の向上:(対策)内径の小さい交流磁場コイルを作製し、センシング用の磁場強度を上げる。それに対応させて、探針吸着部を小さくする。(ジルコニアで作製済み) 課題②直流磁場印加による磁歪による探針と試料間の相対位置のドリフト:(対策)極小(サイズで1mmX1mm以下)の永久磁石を用い、それを薄膜試料(厚さ数100μm以下)にする。 課題③交流磁場と直流磁場の同時印可による振動:(対策)交流磁場コイル、直流磁場コイル、永久磁石試料を互いに非接触で設置可能な支持機構を作製する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
永久磁石表面上で磁場の絶対値を高分解能で計測するために必要なセンシング用の交流磁場強度の算出が遅れたために、交流磁場印加コイルとそれに合わせた支持機構等の設計・作製ができなかった。 設計した交流磁場印加コイルとその支持部材、試料ホルダの作製費用、およびコイルの駆動用電源の購入費用に充てる。
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Research Products
(2 results)