2013 Fiscal Year Research-status Report
非破壊接触型アマルガム多探針による単分子膜の電気伝導測定法の開発
Project/Area Number |
25600094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉信 淳 東京大学, 物性研究所, 教授 (50202403)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 表面電気伝導 / アマルガム / 有機薄膜 / 非破壊 / 探針 |
Research Abstract |
現在,我々は市販の小型シリンジに水銀を挿入し,シリンジ先端から少し突き出た水銀の半球を有機分子SAM に接触させ,「水銀/SAM/半導体接合」の電気伝導(I-V特性)を測定している.水銀半球の一部が表面に接触さ せると圧力により水銀は変形し,接触面は円盤状になる.横からの光学カメラ観察により,接触面積を正確に求 められる(∴電流密度が分かる).しかし,シリンジの大きさが決まっているので,多探針化しても探針間距離 は数mm以上のオーダーになり,表面電気伝導測定には適さない.そこで、本研究では、Au線を電気化学エッチングすることにより先端の尖った金属探針を作製 し探針表面を高分子でコートする.先端部の高分子コートを有機溶媒(アセトンなど)あるいは機械的 研磨により取り除く.最先端部だけ金属が露出しているので,水銀と接触させることにより,その部分だけ水銀 で濡れ,表面でアマルガム化する. 作製したアマルガム探針のうち2本は市販の3軸ピエゾ駆動ステージに装着する.他の2本は手動の3軸マイクロ ステージに装着する.4探針のうち後者の2本が電流を供給する半固定型のアマルガム探針,前者の2本が独立駆 動型のアマルガム探針である.既に我々の研究室で導入済みの独立駆動4探針電気伝導測定装置の経験から,光 学顕微鏡を用いると数μm ~10μmのオーダーで独立駆動探針の配置が可能であることが分かっている(Yoshimo to et al., Rev. Sci. Instr. 82 (2011) 093902).本年度は、電位差測定を行う2探針のピエゾ駆動ステージの基本的な仕様を決め、全体の装置の概要を決めた.年度末近くに、ピエゾ駆動ステージが納入された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、アマルガム探針駆動用のピエゾ素子の仕様を決定した.仕様を満たすピエゾ駆動素子の選定と納入に時間がかかったが、ドイツ・attocube社のエンコーダー付きポジショナーを2台発注し、年度内に納入された.
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Strategy for Future Research Activity |
表面電気伝導測定用の独立駆動4探針のうち両端の2探針は電流導入用でありマイクロメーターで微動する.電位測定を行う2つの探針は、平成25年に納入されたエンコーダー付きのピエゾポジショナーであり、数10ナノメートルで探針の位置制御が可能である.これらを設置する台座を新たに設計し、既設のソースメーターをつなぐことにより、測定装置を完成させる.さらに、金探針の先端を水銀でアマルガム化することにより、液体金属接点の先鋭な探針を実現し、その評価を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
電位測定用の独立駆動2探針の位置を、数10nmで制御できるピエゾ駆動素子の納入が年度末近くになったので、それ以上の支出が生じなかったため. 平成26年度は、平成25年度に購入したピエゾ駆動素子と、今年度購入する手動微動装置を組み合わせた独立駆動4探針電気伝導装置を試作する.電気化学的に先鋭化した金探針の先端をアマルガム化し、この装置に取り付け、有機蒸着膜などの電気伝導測定を試みる.
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