2013 Fiscal Year Research-status Report
局所加熱型走査ゼーベック顕微鏡の開発と高性能有機熱電材料の探索
Project/Area Number |
25600097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 圭 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (40335211)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 熱電材料 / 光熱励振 |
Research Abstract |
カンチレバーを局所的に加熱できるレーザ照射系および試料加熱冷却機構を備えた原子間力顕微鏡(AFM)をベースに、局所熱電性能を評価できる走査ゼーベック顕微鏡(SSM)法を開発し、熱電材料の標準的評価手法として確立することを目的として研究を進めている。SSMは従来からある同様の手法とは異なり、汎用のカンチレバーを使うことが可能であり、試料側にも制約がないため、有機/無機を問わず様々な熱電材料を対象にナノスケール熱電性能を評価することが可能であり、また熱電性能と組成・構造との相関を明らかにできる。本研究では、例として有機熱電材料を対象に選び、熱電変換の素過程を可視化し、ナノスケールの組成・構造との対応を明らかにしていく。 本年度は、現有のAFM装置における強度変調レーザ照射系の集光系を最適化し、漏れ光による試料表面の温度上昇を避け、探針直下のみを効率よく加熱できるように改造した。これまでに、出力20mW程度の青紫色半導体レーザを長さ100μm・幅30μm程度のカンチレバーの先端に照射し、探針部の温度を最大で10℃程度まで上昇させることができることを確認した。また、現有の周波数変調方式(FM)AFM装置に、真空中で試料の温度を±100℃程度可変できるように加熱冷却機構を組み込み、FM-KFMにより有機薄膜試料の表面電位測定が行えることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、おおむね順調に進展している。走査ゼーベック顕微鏡(SSM)の開発に向けて、試料温度制御技術やカンチレバー加熱技術、ナノスケール電気特性測定技術等の各要素技術について順調に開発が進められた。 上記研究概要にも述べたように、本年度は、カンチレバー探針直下のみを効率よく加熱できることを確認し、また真空AFMにおいて試料全体を±100℃程度に可変できることを確認した。FM-AFMを用いたナノスケール電気測定技術については、走査インピーダンス顕微鏡(FM-SIM)やケルビンプローブ表面力顕微鏡(FM-KFM)の測定条件の最適化および測定結果の解析方法の開発に取り組んだ。これまでに、真空中で動作するFM-KFMを用いて、有機薄膜トランジスタにおける局所電位およびしきい値を測定することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
PXIシステムを利用したSPMコントローラを導入し、真空中で動作する温度可変FM-AFM/KFMを用いて、試料表面上の各点で(Point-by-Point)、有機薄膜の局所電位およびしきい値を測定し、これらの2次元マップを取得する。また、その温度特性変化を計測する。さらに、強度変調レーザ照射と組み合わせることで、局所的な熱電性能を評価する走査ゼーベック顕微鏡(SSM)法を完成させ、有機薄膜を対象に局所的熱電性能計測を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度当初は、PXIシステムを利用したSPMコントローラを導入する計画を立てていたが、実際には、本年度中に行った実験は、従来のSPMコントローラで十分であったため、PXIシステムを利用したSPMコントローラの導入は次年度へ延期することにした。 次年度に、PXIシステムを利用したSPMコントローラを導入する予定である。
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Research Products
(4 results)