2015 Fiscal Year Annual Research Report
4端子メムリスタを用いた信号伝達相関型シナプス素子の創製
Project/Area Number |
25600098
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
酒井 朗 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20314031)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | メモリスタ / 単結晶 / 還元 / 抵抗変化 / 酸素空孔 / フィラメント / 転位 / シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、前年度に確認された還元TiO2単結晶の電気伝導特性に着目し、結晶内の酸素空孔分布と素子抵抗変化機構との相関を明らかにした。具体的には、還元熱処理を施した(100)面方位TiO2単結晶基板の表面に、電気伝導に係る駆動電界を与える電極と、その電界方向に垂直な電界を与える修飾電極を設けた4端子平面型素子を作製し、修飾電界印加に伴う駆動電界方向の電流変化を計測した。また、光学顕微鏡を用いて、電界印加の各段階における酸素空孔集積による電気着色現象を観察した。その結果、[001]方向に優先的に伸びるフィラメントおよびその周囲の暗コントラストの形態が修飾電界によって可逆的に変化する様子が観察された。また、このコントラスト形態に依存して、素子抵抗が不揮発・可逆的に変化することから、結晶内の酸素空孔分布変化が抵抗遷移に直接影響していることが明らかになった。 本研究では、酸化物結晶中の酸素空孔の反応場と素子構造の精密なデザインに基づき、生体系シナプスの高次機能を模倣する信号伝達相関型シナプス素子を創製し、その基本動作を実証することを目的としている。研究期間全体を通して、SrTiO3およびTiO2の還元単結晶を用いて当該素子の開発にあたった。前者においては直接基板接合により人工的に形成した二次元転位網を、後者においては[001]結晶方位に優先的に形成される導電性フィラメントを酸素空孔の挙動場とする抵抗変化素子を作製し、両素子において、低抵抗状態と高抵抗状態の高い安定性と制御性を確認した。特にTiO2結晶に対しては、修飾電界印加により、素子抵抗を可塑的かつ可逆的に変化させることに成功し、これによって、酸素空孔分布の制御に基づき、多入力で信号伝達挙動をコントロールできるシナプス素子の実現への可能性が示された。
|
Research Products
(2 results)