2015 Fiscal Year Annual Research Report
有機強誘電体薄膜の電気熱量効果による高効率小型ヒートポンプの開発
Project/Area Number |
25600102
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
吉村 武 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30405344)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電気熱量効果 / 強誘電体 / 自発分極 |
Outline of Annual Research Achievements |
電気熱量効果は強誘電体のような自発分極を有する物質に、電界を印加・除去するするとその温度が上昇・下降する現象である。誘電体を用いることからエネルギーの損失が少なく、高いカルノー効率を有する固体冷却素子が実現できると期待されている。 本研究ではまず、熱力学現象論に基づいた電気熱量効果の理論計算に取り組んだ。その結果、強電界を印加することで常誘電相から強誘電相に相転移する温度領域で10K程度の大きな電気熱量効果が得られることを明らかにした。 さらに電気熱量効果の評価方法の開発にも取り組んだ。従来の方法としては、分極-電界特性の温度変化から間接的に求める方法や、示差熱分析計を用いて熱量を測定する方法などがあるが、本研究では、薄膜試料の測定を目的としていたため、新しく薄膜熱電対を用いる方法に取り組んだ。 スパッタリング法とフォトリソグラフプロセスを用いて銅ーコンスタン薄膜熱電対を試料上に直接形成した。熱電対の一方を電極として兼用することにより、試料構造を単純化させた。 BaTiO3セラミックス用いた測定では、キュリー温度近傍の126℃での測定において、4.5kV/cmの電界印加により0.16℃の電気熱量効果による温度変化が得られた。これは理論計算の結果とおおむね一致している。電気熱量効果係数は 0.35×10-6 K·m/Vと算出され、過去の報告値よりも大きな値が得られた。このことから、薄膜化を行いより大きな電界を印加できるようになれば、さらに大きな電気熱量効果による温度変化が得られると期待できる。
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