2013 Fiscal Year Research-status Report
トポロジカル変換を用いた縮退四光波混合分光の多次元化
Project/Area Number |
25600105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
戸田 泰則 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00313106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 智 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10221722)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 縮退四光波混合 / 光渦 / トポロジカル変換 / 励起子 |
Research Abstract |
本研究では、超短パルス光のトポロジカル変換を用いた新しい縮退四光波混合(FWM)分光を構築し、半導体励起子の時空間ダイナミクス(軌道角運動量ダイナミクス)や多体相関に関する新規物性を明らかにすることを目的としている。今年度はトポロジカル変換を用いた1)励起子空間コヒーレントダイナミクス観測、2)垂直共振器構造を有する半導体試料の光帰還制御、および強励起条件下のFWM分光を用いた3)励起子相関ダイナミクス観測を行い、以下の知見を得た。 1)複合光渦を使ったFWM分光から、光波の軌道角運動量に依存した励起子緩和レートの変化を明らかにした。観測された変化は軌道角運動量に反比例して増大することから、空間的な位相緩和の違いが起因していることが示唆され、本研究の目標である多次元物性解析の基盤技術が整備できた。さらに複合光渦を用いたトポロジカル変換を利用することで、同一条件下における緩和レートの軌道角運動量依存性を確認した。 2)トポロジカル変換の応用を目的として、面発光レーザーを用いた空間モード制御(軌道角運動量制御)を試みた。光帰還による空間モード制御を確認することができたが、現時点において他モード抑圧が不十分であり、今後、トポロジカル変換時におけるキャリアダイナミクスや多体相関の影響を明らかにする必要がある。 3)強励起条件下におけるFWMスペクトルのダイナミクスを調査し、励起強度に依存したスペクトル変化とコヒーレントダイナミクス変化を観測した。結果から励起子相関に起因した変化であることが示唆されているが、スペクトルに関する変化は非常に複雑である。これはバルク試料における空間的な強度分布が影響していると考えられるため、今後は微小共振器試料を用いることにより、共振器ポラリトンを用いた直接的な検証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トポロジカル変換にもとづく超短パルス光励起縮退FWM分光を構築し、半導体励起子の空間コヒーレントダイナミクスを反映した軌道角運動量依存性を得ることができた。これにより本研究の目標である多次元物性解析の基盤技術が整備された。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に構築したトポロジカル変換にもとづく多次元物性解析を利用して、励起子相関を反映したスペクトル変化やダイナミクス変化を明らかにする。より顕著な励起子相関物性を明らかにするため、微小共振器試料への展開を図り、多次元物性解析の適用を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品の購入の際に割引期間を利用する等工夫して予算を執行したため、当初の見込み額と執行額は異なった。 研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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