2014 Fiscal Year Annual Research Report
光波のヘリシティー・シンセシスによるカイラル・フォトニクスの創成
Project/Area Number |
25600108
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
尾松 孝茂 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 教授 (30241938)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 量子エレクトロニクス / 非線形光学 / 特異点光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
光渦を物質に照射するとカイラルな構造体が形成できることを発見した。特に、融点・沸点が低いシリコンでは、0.05mJ程度の単一光パルスを照射するだけで円錐状のカイラル構造体ができる。このカイラル構造体はシリコン基板と同じ面((100)面)に沿って再結晶化した単結晶であることが電子線構造解析から明らかになった。 このメカニズムを解明するために、高速度カメラを用いてシリコンの構造体ができる時間までのダイナミクスを計測した。その結果、照射した光渦のパルス幅がピコ秒(もしくはナノ秒)であるにもかかわらず、構造体がマイクロ秒のタイムスケールで堆積していくことが分かった。 構造体ができるメカニズムとして以下のようなモデルが推定できる。まず、トポロジカル光波が照射されたシリコンは、トポロジカル光波を吸収し溶融する。溶解したシリコンはトポロジカル光波から全角運動量を受取り、加工痕の周回方向に回転運動しはじめる。シリコンは回転運動しながら強い前方散乱を受け、光場から光軸付近の暗点(位相特異点)近傍へ逃れようとする(ピコ秒からナノ秒のタイムスケール)。その後、回転運動は急速に減衰するが、散乱力による前方方向の慣性的な物質移動はそのまましばらく継続し、構造体ができる(マイクロ秒のスケール)。堆積する時間がマイクロ秒であるため、シリコン基板上で熱拡散による温度の均一化が起こり、結晶成長が促される。また、連続体に働く「全角運動量」を解析的に求めて定式化した。
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