2013 Fiscal Year Research-status Report
プラズマ成長ハイブリットナノカーボンによる新概念分子モータ-の創製
Project/Area Number |
25600119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 俊顕 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20502082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 俊郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30312599)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / グラフェン / ハイブリットナノカーボン / 分子モーター |
Research Abstract |
三年計画の初年度である今年度は, カーボンナノチューブへの垂直配向グラフェン合成に特化して研究を行った. カーボンナノチューブ及びグラフェンに構造欠陥が生成されないように, 基板入射イオンエネルギーが極限まで低下できる低電子温度拡散プラズマCVD装置を製作した. さらに本装置において, 垂直配向グラフェン合成条件の最適化を行い, 触媒を用いない基板上に数層の厚みを有するグラフェンを基板垂直方向に配向成長することに成功した. さらに, カーボンナノチューブ塗布基板に対して同様の合成実験を行った. 合成時間依存性を測定した結果, 十分時間が経過した合成においては, カーボンナノチューブの有無にかかわらず基板一面に垂直配向グラフェンが合成されたのに対し, 合成時間が極めて短い場合においては, カーボンナノチューブの表面のみに選択的に垂直配向グラフェンが合成することを見出した. これは, カーボンナノチューブが核成長点となり垂直配向グラフェンの成長が促進された結果と考えている. さらに, 異なる直径(~1nm, ~ 20nm)を有するカーボンナノチューブを用いて垂直配向グラフェン合成を行った結果, 配向度がカーボンナノチューブの直径に強い相関を示すことが判明した. これは, 直径の差に伴い電界集中効果が変わるため, 配向の駆動力となる電界強度が変化した結果と考えている. このように, 条件を最適化することにより, カーボンナノチューブ表面に選択的に垂直配向グラフェンが合成されたカーボンナノチューブ/グラフェンハイブリット物質の合成に成功した. さらに, 次年度計画の一部であった, ハイブリットナノカーボン物質へのナノ粒子担持実験も行った. その結果, 垂直配向グラフェン表面に金ナノ粒子を高密度で担持することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度はカーボンナノチューブ表面へのグラフェン合成(カーボンナノチューブ/グラフェンハイブリット物質)を目的として研究を行い, プラズマCVD条件の最適化によりカーボンナノチューブ表面に選択的に垂直配向グラフェンを合成することに成功した. さらに次年度計画の一部であった, カーボンナノチューブ/グラフェンハイブリット物質表面へのナノ粒子担持も実現した. 従って, 当初の計画以上に進展していると判断した次第である.
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Strategy for Future Research Activity |
三年計画の二年目にあたる今年度は, 初年度までに合成に成功したカーボンナノチューブ/グラフェンハイブリット物質に関して, ナノ粒子担持の選択性向上と光学物性評価を中心に研究を進める. ナノ粒子担持自体は, 初年度に既に実現しているが, 分子モーターとしての応用には, 駆動力に異方性を持たせる目的で, ナノ粒子担持をハイブリット物質の一部にのみ選択的に行う必要がある. そこで, フォトリソグラフィによるパターンニングを活用して空間選択的ナノ粒子担持を実現する. また, 光学物性評価に関しては, ナノ粒子担持カーボンナノチューブ/グラフェンハイブリット物質のラマン分光分析を行う. ナノ粒子表面におけるプラズモン励起により, ハイブリット物質由来のラマン強度の著しい増大が期待できる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は, 今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生したものである. 次年度使用額は平成26年度請求額とあわせ, 平成26年度の研究遂行に使用する予定である.
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