2014 Fiscal Year Annual Research Report
イオンコンダクタンス顕微鏡を用いた細胞膜揺らぎの定量イメージング技術の開発
Project/Area Number |
25600127
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡嶋 孝治 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (70280998)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生物物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞の力学特性は細胞機能と密接に関係しており、近年、細胞内部の力学物性の詳細が明らかにされつつある。一方で、細胞情報伝達の「場」である細胞膜のナノ力学特性の理解は非常に遅れている。その理由の1つは、細胞膜のナノ物性計測法の欠如による。本研究では、イオンコンダクタンス顕微鏡(SICM)を用いた細胞膜揺らぎイメージング法を開発し、細胞膜揺らぎ量の空間計測を実現した。前年度に試作した細胞膜揺らぎ計測に特化したSICM装置を用いて測定を行った。本装置は、既存の倒立型光学顕微鏡に装着した。細胞サンプルを水平方向に走査し、ナノガラスピペットを垂直方向に走査する機構を採用した。光学顕微鏡を用いて細胞を観察し、測定位置を決定することができる。フィールドプログラマブルゲートアレイ回路(FPGA)を用いたプログラムを改良し、より高速なデータ取得を可能とした。そして開発した装置を用いて、イオン電流曲線の走査速度依存性を詳細に調べた。その結果、イオン電流曲線イオン電流曲線の変化率が走査速度に強く依存することが分かった。また、ピペットがサンプルから十分に離れた位置においても、アプローチ時と退避時ではイオン電流の絶対値が異なることが分かった。このことは、ナノピペット先端へのイオン電流の流入および流出がピペットと溶媒との相対運動に強く依存していることを示唆した。次に、マイクロパターン基板技術を用いて、細胞骨格構造を制御した接着細胞の細胞膜揺らぎを詳しく計測した。その結果、細胞膜揺らぎの位置依存性は観測されなかった。この結果は、細胞接着により生じる細胞骨格構造変化が細胞上部の細胞膜のダイナミクスに直接影響を及ぼさないことを強く示唆した。
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Research Products
(2 results)