2013 Fiscal Year Research-status Report
ペルチェ冷却を凌駕するトムソン効果を応用した固体冷却素子の創出
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25600128
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮崎 讓 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40261606)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トムソン効果 / 電解析出 / イオン液体 |
Research Abstract |
固体のトムソン効果を利用した高効率バルク冷却素子の実現に向けた基礎条件を検討するために、今年度は溶液からのシリコン単体析出を試みた。 始めに、熱力学データを用いてシリコンの電解析出が可能であることを確認し、電位窓の広いイオン液体(1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビストリフルオロメチルスルフォニルアミド)を選定した。続いて、四塩化ケイ素とイオン液体の混合溶液を電解浴として、銀参照電極に対して±3Vの電位走査条件のもとでポテンショスタットを用いて酸化インジウムスズ基板上に電析を行った。サイクリックボルタモグラムにより、シリコンの析出を示す還元反応が確認されたが、浴抵抗が大きいためか、流れる電流は1x10-4 A/cm2以下であった。基板上に生成した膜状物質に対してX線回折を行ったところ、非晶質特有のブロードなピークのみが回折角20°近傍に認められた。また、この膜状物質は大気に暴露されると時間とともに白濁化が進行したことから、試料表面に酸化が生じているものと推察された。 イオン液体に対する四塩化ケイ素のモル比を変化させた電解浴を作成し、同様な実験を行ったが、電析後、浴から試料を取り出して乾燥させている間に膜状物質の白濁が観察された。現在まで、結晶性膜の生成には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
イオン液体ベースの電解浴から、シリコンの単体析出条件が未だ明確化されていない。
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Strategy for Future Research Activity |
このまま電析による薄膜生成を目指すために、電解条件の検討を引き続き行うとともに、バルク試料の作製に適した放電プラズマ焼結による合成もあわせて検討し、組成傾斜したバルク体の合成を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、当初計画していたシリコン電析条件の確立の一部を次年度に延期することによって生じたものである。 延期したシリコン電析条件の確立に必要な経費として平成26年度請求額とあわせて使用する予定である。
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