2014 Fiscal Year Annual Research Report
放射線照射制御検出のための赤外線発光シンチレーター素子の開発とその応用
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25600131
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
戸崎 充男 京都大学, 放射性同位元素総合センター, 准教授 (70207570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角山 雄一 京都大学, 放射性同位元素総合センター, 助教 (90314260)
藤田 晃司 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50314240)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 赤外線発光シンチレーター / マイクロα線源 / Po-210 / 細胞照射 / シングルイオン照射制御 / XYステージ / パルスモータ制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、分子生物学者が切望するin situ 実験の新しい手法として、可視光環境でα線を細胞上の任意の場所に任意の個数を照射する総合的な照射応答観察システムの構築を目指した。 α線源として、Po-210をPt芯線(径1~5μm)に電着してマイクロ線源(0.1~10cps)を作成し、またステッピングモータ制御によるXYステージを作成し、これらを既存の顕微鏡に組み込み、0.1μm/パルス単位で10㎜×10㎜内の希望の位置に誘導・照射できるシステムを構築した。照射個数の計測では、シリコン半導体素子を用い、入射面を遮光して環境中で作動させ、シングルのα線のエネルギー測定が可能である。また、位置の計測は、赤外線位置感応素子(PSD、2次元9㎜×9㎜)を用いて、約5μmの位置分解能で照射スポット検出を達成できた。 赤外線発光のシンチレーション素子の開発では、その発光量に問題があり、特に最終年度は、この素子開発と計測システムの制御の整合性の開発に費やした。ガラス質(Bi2O3 またはB2O3)を母体に、希土類元素(Pr, Er, Sm等)をドープし、α線の刺激で800-1200nmの波長の近赤外線を発光するシンチレーター素子をいろいろ試作したが、目的とする強度の発光量を達成してない。つまり、システムを機能的に制御するトリガー信号をえられない。目的の赤外発光による位置検出は、シングルイオンでの光量が達成できれば、フィードバックのかかる制御が可能である。さらに、感度を上げるためにμPMT(近赤外900nm感応、超小型電子増倍素子)を使い、本実験用にシンチレーション検出器を組み上げた。 現在単独で個数と位置の計測の機能は達成しているが、今後、素子の発光強度を上げる改良を進め、赤外光の応答信号を用いて可視光環境で照射α線の個数を計数し照射位置を制御できる照射応答観察システムの完成を目指したい。
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