2014 Fiscal Year Research-status Report
構造力学と連続体力学を繋ぐメタモデリング理論の構築と有限要素法への応用
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25600153
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 宗朗 東京大学, 地震研究所, 教授 (00219205)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有限要素法 / 連続体力学 / 構造力学 / モデル化 / 前処理 / 求解 / 後処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,同一の物体に対し整合した解析モデル群を構築するというメタモデリング理論を基に,ソリッド要素を使った有限要素法モデルの前処理・求解・後処理に対して,純粋に力学的観点から改良を加えることを目的とする. 本年度は,特に,モデル構築に関する前処理に関して改良を行った.本研究で対象とする構造物は,社会基盤施設であり,ディジタルデータではない設計図面のデータである.この設計図面のデータに対し,通常は,手作業でモデル構築を行う.本研究では,図面データを画像データとしして処理し,部材等の形状の情報を抽出し,ソリッド要素モデルのプロトタイプとなるフレームモデルを自動構築することを行った.フレームモデルは簡単にソリッド要素モデルに変換できるよう,フレーム(部材)の連結部に整合性が担保できることとした. フレームモデルの構築に際し,画像データの処理にはさまざまな例外条項がある.視認できる事物には,機械判読が難しいものが多く,特に接合部の形状は難しい.この問題に対し,基本的な幾何形状のテンプレートをあらかじめ準備し,画像データに最も適合するテンプレートを選択する,という方法で解決を図った. 道路橋梁(15の橋脚とそれを結ぶ橋桁)群に対し上記のテンプレートを使ったフレームモデルの自動構築に成功した.フレームモデルからソリッド要素有限要素法モデルの構築も行った.メタモデリング理論に基づいた解析モデルの自動構築を実証する実例である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,メタモデリング理論を基に,ソリッド要素を使った有限要素法モデルの前処理・求解・後処理に対して,純粋に力学的観点から改良を加えることを目的とする. 平成26年度までに,後処理と前処理の改良が終了している.後処理では,ソリッド要素有限要素法モデルの解を構造要素有限要素法モデルの解に投影することで,設計に必要な断面力等の計算が正確かつ効率的に行えるようになった.前処理では画像データからフレームモデルを構築し,その後,フレームモデルと整合するソリッド要素有限要素法モデルが構築できるようになっている. 上記の進捗状況は,当初考案した研究計画とは若干異なった順番となっている.しかし,前処理・求解・後処理の内,二つが終了しているため,進捗そのものとしてはおおむね順調と判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度である平成27年度では,残された課題である求解の改良に取り組む. ソリッド要素有限要素法モデルでは求解のアルゴリズムは共役勾配法であり,数理的観点からさまざまな工夫が考案されている.本研究では,メタモデリング理論に基づき,構造要素有限要素法モデルの解を初期解に利用することを試みる.ソリッド要素有限要素法モデルの自由度は億を超える場合もあるが,構造要素有限要素法モデルの自由度は10万以下である.求解に必要な計算量は構造要素有限要素法モデルが圧倒的に少ない.したがって,ソリッド要素有限要素法モデルと整合する構造要素有限要素法モデルを構築し,その解を求める.この構造要素有限要素法モデルの解をソリッド要素有限要素法モデルの解空間に投影することで,ソリッド要素有限要素法モデルの共役勾配法の初期解を得るのである. アイディアは単純であるが,構造要素有限要素法モデルの解をソリッド要素有限要素法モデルの解空間に投影する際,すなわち,10万程度の自由度の解を億の自由度の解に変換する際,相応の計算が必要である.この計算を効率的に行うコードを開発することが重要である.
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