2013 Fiscal Year Research-status Report
小圏のコホモロジー論によるアソシエーションスキーモイドの研究
Project/Area Number |
25610002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
栗林 勝彦 信州大学, 理学部, 教授 (40249751)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小圏 / コホモロジー / アソシエーションスキーム |
Research Abstract |
小圏の射の集合が適切な分割(色づけ)をもつ場合にその小圏を擬スキーモイドと呼ぶ。また擬スキーモイドが射の色づけを保つ自己同型関手を持つ場合, その小圏をスキーモイドという。これらの概念は代数的組合せ論で研究されている重要な概念アソシエーション・スキーム(AS)の圏論的観点からの一般化であり, 代数的組合せ論を圏論的枠組みで展開する研究対象として期待されている。実際, ASをスキーモイドと見なした場合, そのスキーモイド代数は本来のASから得られるBose-Mesner代数となる。 25年度の研究では, スキーモイドの圏を定義し, その部分圏で基点付き細スキーモイドのなす圏と亜群の圏との同値性を示した。またさらにHanakiによるASの圏とFrenchによるASと許容写像からなる圏は, それぞれスキーモイドの圏と基本スキーモイドとその間の許容写像からなる圏に埋め込まれるという事実を得た。スキーモイド代数への対応は, 基本スキーモイドの圏から代数のつくる圏への関手をあたえる。こうしてASは圏論的にも明確にスキーモイドに組み込まれることになる。 スキーモイドを作り出すことはその世界を豊かにするという意味でも重要な研究の一つである。これらスキーモイドの構成に関しても2つの方法を与えることに成功した。一つはBaues, Wirschingによる線形拡張の方法である。小圏の拡張と同様, Ext群から定義される2次のBaues-Wirschingコホモロジーがやはりスキーモイド拡張を分類することも示した。Berger, Leinsterによる推移的行列から小圏をつくる方法を基に, スキーモイドの構成法を与えた。これはASを太らせてスキーモイドを構成する方法であり, この対応はASの圏からスキーモイドの圏への関手を与えることもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
25年度の研究では次の1, 2を目標とした。1. スキーモイドの圏を定義し, その適切な部分圏と亜群の圏との同値性を示す。2. 小圏の Baues-Wirsching コホモロジーを用いてスキーモイドのホモロジー論的考察を進める。特にスキーモイドの拡大を定義しその分類をコホモロジーの言葉で記述する。上述のように1, 2に加えさらに小圏の構成方法からスキーモイドを構成する方法を与えたという点で, 当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得た結果を学会等で発表し, 有限次代数の表現論をはじめ関連領域の研究者と議論することで, スキーモイドの研究を押し進める上で鍵となる道具や概念の情報収集に努める。また研究目的である次に取りかかる。3. スキーモイドの圏にモデル圏の構造を入れ, ホモトピー論的考察が可能な体系を構築する。4. 隣接代数(Bose-Mesner代数)の一般化であるスキーモイド代数に圏論的表現論を適用し, 小さなスキーモイド代数の分類を行う。3に関しては, 小圏におけるHoff, Leeによる強ホモトピー関係を用いてスキーモイドの圏でホモトピー論を展開できる可能性がある。このことをまず確かめることから研究を始める。4に関してはBaues-Wirsching コホモロジーを用いて定義するスキーモイドコホモロジーの性質を探る計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画では予定していなかった研究協力者を得たために, 次年度に旅費の繰り越しを行なった。 研究協力者の旅費補助分と, 自身の出張旅費および本研究に関連し企画開催するセミナー, 勉強会, 研究集会の講師旅費等に使用する計画である。また研究に必要な図書, 特に代数的組合せ論, 抽象ホモトピー論関連の図書と資料整理に必要な物品の購入費にも本経費を使用する予定である。
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