2013 Fiscal Year Research-status Report
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25610004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梅村 浩 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 名誉教授 (40022678)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ガロア理論 / 量子群 / 量子Picard-Vessiot理論 / Hopf代数 |
Research Abstract |
q-skew sigma iterative(以下qsiと略記する) 微分ガロア理論について、以下にのべるような顕著な発展があった。qsi微分環とは微分作用素とq-差分作用素の組合わさった作用をもつ環である。環自体は可換である必要はない。この概念は、量子化と関係して物理学から発生したと思われる。作用を受ける環が可換であっても、微分と差分作用素が少しだけ非可換なので、いわゆる量子化が起るのである。 しかし、qsi微分体上の線形方程式については、Ch. Hardouin氏によるPicard-Vessiot理論とよばれるガロア理論があり、それによれば、qsi Picard-Vessiot理論のガロア群は、一般の量子群ではなくて、線形代数群である。つまり、線形qsi微分方程式を考えるならば、作用素環がいかに捩じれていようとも、ガロア理論は量子化されないと主張するのである。この理由から、我々は研究対象を非線形方程式に限ってきた。一般のqsi 微分体の拡大のガロア理論も、Hopf環を用いたModule 代数の理論で定式化され、我々の得意とする普遍Taylor射による枠組みに入ることから、我々は研究の矛先を非線形qsi微分方程式に向けていた。そうすることによって、幾つかの例から、ガロア群のの量子化が起ることを確認した。奇妙なことに、この内の一つの例は線形qsi微分に帰着し、Hardouin氏の理論と矛盾するかに見えた。筑波痔学の増岡氏のグループの研究により、Hardouin氏の理論の基礎が明確になると、線形qsi微分方程式でも、ガロア群の量子化が起こりうることが解明した。我々の例は、非可換、非余可換な量子群をガロア群に持つ、線形qsi方程式の初めての例となったのである。さらにこの例では非可換淡中理論が成り立つことを示した。これは非可換環上の量子化されたPicard-Vessiot理論を示唆するものとおもわれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は線形qsi微分方程式であってそのガロア群が非可換、非余可換である例を発見した。これはコロンブスの卵と言ってしまうこともできようが、従来あったHardouin氏のPicard-Vessiot理論からは想像できない例であり、小さな一歩ではるが、重要な一歩である。 さらに一般の量子化されたガロア理論の存在に思いは広がる。具体的には次のような侵攻が望まれる。(1)線形qsi微分方程式のガロア理論。量子Picard-Vessiot理論。(2)非線形qsi方程式の量子ガロア理論。(1)と(2)では性格が違うと思われる。(1)についてはIHESのP.Cartier教授が我々の仕事から出発して、一部拡張に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
非線形qsi方程式について、ガロア群の計算例を増やす、qsi微分方程式により量子化されたガロア理論の幾何学的側面を開拓する。量子化されたLie groupoid、Jet空間を導入することは可能か考察する。非可換な環上の座標変換と量子群の関係を追求する。
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Research Products
(1 results)