2013 Fiscal Year Research-status Report
一般化された幾何構造と4次元微分トポロジー、導来圏の研究
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25610011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 竜司 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30252571)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 一般化された複素構造 / 一般化されたケーラー構造 / 一般化されたカラビーヤオ構造 / ポアソン構造 / 超ケーラー多様体 / 変形理論 |
Research Abstract |
一般化された幾何学には一般化された複素構造, 一般化されたケーラー構造, 一般化されたカラビーヤオ構造, 一般化された超ケーラー構造などがあり, ポアソン幾何学, 非可換何, 導来圏の変形, 4次元多様体の微分トポロジーとの関連が様々な形で示唆されている. これらとの関連を明らかにし, 一般化された幾何学の研究を進展させた. 具体的には次のテーマに焦点を合わせて, 研究を行った. (1) 特異点を持つ一般化された複素多様体のスムージングの問題 (2) 一般化されたカラビーヤオ構想、超ケーラー構造の構成 (3) 奇数次元多様体上の一般化された幾何構造(一般化された接触構造, 一般化された佐々木構造) (4)4次元多様体上の微分トポロジーと一般化された複素構(5) 導来圏の変形と一般化された幾何構造 テーマ(4) については、4次元多様体上法束が自明な2次元トーラスに沿った対数変換を用いて非自明な一般化された多様体の構成を行った(早野健太との共同研究). テーマ(5) と関連して, 複素曲面上の一般化された複素構造の変形が, ポアソン構造の零集合が非特異な楕円曲線と成っている場合、その楕円曲線の補集合の2次元コホモロジ-群で与えられるという結果を得た. さらに3次元ファノ多様体上の一般化された複素構造の変形、モジュライ空間の研究に進展が見られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 特異点を持つ一般化された複素多様体のスムージングの問題 についてはあまり進展がなかった. (2) 一般化されたカラビーヤオ構想、超ケーラー構造の構成: トーラス作用がある場合には非自明な一般化されたカラビーヤオ構想、超ケーラー構造の構成に成功した. 現在はこの結果を論文にまとめる準備をしている. (3) 奇数次元多様体上の一般化された幾何構造(一般化された接触構造, 一般化された佐々木構造): 一般化された接触構造, 一般化された佐々木構造の純粋スピノルの立場から適切な定義を与え, 偶数次元の一般化された複素構造、 一般化されたケーラー構造との対応をしめした. また変形の安定性を確立し, これら幾何構造の非自明な例を構成した.(4) 4次元多様体上の微分トポロジーと一般化された複素構造:早野健太氏との共同研究を行いトーラスに沿った対数変化を使い興味深い4次元一般化された複素多様体を構成した. これら4次元多様体は通常の複素構造もシンプレクティック構造も持たないのであるが、複素構造もシンプレクティック構造の混合した一般化された複素構造の族をもつ. シンプレクティック構造が複素構造も変化する場所をジャンピングーローカスというのであるが、こののジャンピングーローカスの連結性分の数をいくらでも大きく出来ることを示した. (5) 導来圏の変形と一般化された幾何構造:これについては現在研究を進行中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後, 研究上の進展が期待されるのは 上記テーマのうち. (2) 一般化されたカラビーヤオ構想、超ケーラー構造の構成, (3) 奇数次元多様体上の一般化された幾何構造(一般化された接触構造, 一般化された佐々木構造)(4) 4次元多様体上の微分トポロジーと一般化された複素構造, である. これらの研究を推進する. また, 一般化された複素曲面あるいは一般化された3次元多様体の変形やモジュライ空間の構成に進展が見られている. 例えば, 2次元複素射影空間は複素多様体としては変形を持たないが, 一般化された複素多様体としては, その中の楕円曲線に応じて2次元の変形族が得られる. 現在, 2次元複素射影空間上の一般化された複素構造のモジュライ空間の構成に成功しているので, この結果をデルペッソ曲面などに拡張してモジュライ空間の構成を行う. 面白いことにこのモジュライ空間次元は楕円曲線の補集合の位相的な性質だけから決まり、楕円曲線が非特異なところでは非障害的な変形となっている. このモジュライ空間の境界に付け加えたものは”退化した一般化された複素構造"である. この一般化された複素構造の退化現象を調べる必要が生じている. 3次元ファの多様体上の一般化された複素構造はさらに面白い現象を湿している. 例えば, 3次元複素射影空間上の一般化された複素構造の変形空間は6つの既約な連結性分を持っている.これら連結性分はそれぞれ3次元複素射影空間上の正則なポアソン構造に対応している. これらはまた, 正則な特異葉層構造に対応している. これら6つの連結性分をコンパクト化し, モジュライ空間を構成する. さらにこれら連結性分同士の関係を調べ, 一般化された複素構造の退化現象をしらべる。さらに 3次元のファノ多様体上の一般化された複素構造の研究を推進する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H26, 27 年度に国際研究集会を開催し, 参加者、講演者の旅費滞在費などに使用することを予定している. また、関連した研究集会に積極的に参加し, 講演をすることを予定している. H26 の6月にイタリアのトリノで国際研究集会を開催し, 参加者、講演者の旅費滞在費に使用する. またH26末に菅平にて国際研究集会を開催する予定であり, ここでも参加者、講演者の旅費滞在費に使用する. またH26 末には上海での研究集会に参加講演する予定である.
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