2015 Fiscal Year Annual Research Report
一般化された幾何構造と4次元微分トポロジー、導来圏の研究
Project/Area Number |
25610011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 竜司 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30252571)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 一般化された複素構造 / ポアソン構造 / 変形理論 / 非可換代数幾何 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンパクト複素曲面 X 上の正則ポアソン構造を β とすると通常の複素構造から定める一般化された複素構造 J の変形として一般化された複素構造 J_β が得られる. これをポアソン変形という. J_β に関して, 次の定理を示した. 定理 1 ポアソン構造の零点集合 C = {β = 0} が非特異複素曲線ならば、J_β の変形は非障害的であり, 倉西空間は補集合 X-C の2次特異コホモロジー群 H2(X-C) の開集合で与えられる. この定理は通常の複素構造の変形と違いジェネリックな一般された複素曲面の変形が位相的なものとなるという著しい特徴を示しており注目に値する. 申請者はこの定理をもとにさらに, ポアソン構造の零点集合 C = {β = 0} に特異点がある場合 J_β の変形を詳細に調べ た. 特に, C = {β = 0} の特異点が m 個の node および cusp {p_i}からなっている場合, H3(X-C) = {0} ならば, 変形の障害は消えており, J_β の無限小変形空間は H2(X-C)と特異点 p_i のヤコビ環 I_i により決定される. すなわち, I_i は曲線 C の各特異点 p_i を局所的に スムーズにする変形に対応し, この局所スムージングは常に大域的スムージングへ拡張可能であり, H2(X-C) は特異点集合 {p_i}_i を保ちながら変形する変形の方向である. これらの結果は論文にまとめ発表した. さらに, これら変形の研究を下に, 一般化された複素曲面の大域的なモジュライ空間の構成に研究を進めた. モジュライ空間にはポアソン構造の零点集合の特異点の種類により, stratification が入り, 各 strata には, トーションが消えた平坦接続が入ることを示した. これを stratified flat structure という. 特 に, 定理 1 から open strata はポアソン構造の零点集合が非特異な場合に対応し, その次元は dim H2(X-C) となる. 2次元複素射影曲面 CP2 の場合, モジュライ空間は2次元であり, 重み付き射影空間 CP (1, 2, 3) となることが示される.
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