2015 Fiscal Year Research-status Report
ポテンシャルの幾何学的研究と「最適美術館問題」のプログラム作成
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25610014
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
今井 淳 千葉大学, 大学院理学研究科, 教授 (70221132)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 美術館問題 / ポテンシャル / 結び目のエネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
多角形、一般には平面領域の部屋に、360度見渡せるカメラを何台か設置し、死角がないようにするには、何台のカメラが必要か、というのが美術館問題である。これに、ある種のポテンシャルの観点から、どの位置にカメラを設置するのが一番いいか、というのを加えたものが本研究課題の最適美術館問題である。今年度得られた成果は以下の三点である。 1、ポテンシャルとして距離のmin-maxを考えたときのプログラム作成を、首都大学東京の大学院生(当時)の福田開大君に委託し、その成果をホームページに発表した。部屋(単連結でなくてもよい)の境界と初期のカメラ位置をプロットすると、カメラをよりよい位置に動かしてくプログラムである。ただし、カメラ台数が5台以下という制限がつき、また、入力するカメラの初期位置が悪い(例えば死角の状況が悪い)と、求める解にはたどり着けない。 2、6月に九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所を訪れ、佐伯教授および数値解析を専門とするスタッフと議論した。元々の問題がNP困難であることが分かったので、今後研究を進めるためには、問題を少し変える必要があることが判明した。関連する先行結果も分かったので、プログラム作成のために、先行結果をどのように改良するのがよいかという方針がたった。 3、関連するトピックとして、球面の結び目のエネルギーがある。この問題についてはWolfram社にプログラム作成を委託し、納品された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究内容については、さらに研究を発展させることは可能であるにせよ、おおむね順調に進展し、27年度中に一区切りついたといってもよいと考える。本研究課題を28年度まで延長せざるを得なくなった主要な原因は、上の研究業績の概要の欄で記した内の3のWolfram社へのプログラム作成依頼に対する委託料の送金に様々な困難が発覚し、結局27年度中に送金できなかったことである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の内容については、上の研究業績の概要の欄で記した内の3のプログラムの改良を計画している。本研究では、結び目が入っている空間は3次元球面で、球面の計量が入っている。通常のユークリッド空間の場合には、KnotPlot という大変優れたプログラムが存在しているので、少しでもそのレベルに近づけたいと考えている。 また、球面の場合のプログラムを使った数値実験を行い、全ての結び目型に、エネルギーを最小にするようなものが存在するかどうかを確かめたい。(結び目が入っている空間がユークリッド空間の場合には、合成結び目ではエネルギーを最小とするものは存在しないと予想されているので、計量による差がでることになると考えられる。)
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Causes of Carryover |
プログラム作成を委託していたWolfram社への委託料の送金に様々な困難が生じ、結局27年度中に送金できなかったことである。より具体的にいうと、大学を通しての送金、Wolfram社の日本代理店を通しての送金ができなかったため、研究代表者が立て替えて銀行から送金するしか方法が残らなかったが、最近チェックが厳しくなり、書類の不備で期間中に間に合わなかった。また、洋書の納期で間に合わなかったものも3冊ほどあった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主要なものはWolfram社への送金である。残りで27年度に納期が間に合わなかった洋書の購入をする。
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Remarks |
委託作成した最適美術館問題のプログラム、およびその説明のパワーポイントのファイルへのリンクを載せている。
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Research Products
(5 results)