2013 Fiscal Year Research-status Report
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25610015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前田 吉昭 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40101076)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 幾何学 / ループ空間 / 無限次元リー群 / アメリカ / ベルギー / フランス |
Research Abstract |
幾何学研究分野の新しい方向の一つは、素粒子物理学をバックグランドにした「幾何学の量子化」の問題である。実際、共形場や位相場理論、非可換ゲージ理論、超弦理論等、幾何学および物理学においてその兆候が表れていると考えられるが、統一した考え方や方法論が確立しているわけではない。本研究は、この新しい研究の流れに向かって、すでに下地を作ってきた収束変形量子化の手法による非可換微分幾何学の方法の上に無限次元ポアソン構造の量子化についての研究を進め、1)非可換ゲージ理論からの非可換不変量、2)ディラック構造や一般幾何学(generalized geometry)の量子化問題とT双対性問題、3)ループ空間とそのチャーンクラス、4)フロベニウス代数・圏論・オペラドによるコホモロジー的場の理論、超ケーラー多様体と量子BCOV理論などを統合する研究を進めることを目的にしている。その目的を達成するために、関連する国内外研究者との討論、共同研究、国際会議発表を行ってきた。現在までに、厳密非可換量子化の方法がおおむね確立されつつあり、これをループ空間を中心とする無限次元ポアソン多様体の非可換化へ向けた研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は有限次元多様体の幾何学構造の量子化問題を代数的に取り扱う手法を確立させ、それを無限次元空間へ拡張していくという戦略を立てている。その前段階の研究については、厳密変形量子化でのさまざまな問題点が浮き彫りになっており、無限次元特有の問題へ進む順調なステップを踏んでいる。また、他分野の研究者との協働も進められている。学会等での招待講演からも研究の注目度もある。順調に研究がすすんでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
目標である量子場の理論の幾何学化(非可換化)を目指す。共形場や位相場理論、ビラゾロ代数の表現論、量子コホモロジー、非可換ゲージ理論、超弦理論等、幾何学および物理学においてその兆候が表れていると考えられる。そのために、次数つきポアソン構造と無限次元ポアソン構造に対する変形量子化の構成を行う。その典型的な例として、ポアソンシグマモデルの量子化について数学的厳密性から行う。また、ループ空間の自然な(無限次元)ポアソン構造に対する変形量子化問題を考察する。ループの積の結合アノマリーの問題、指数定理とチャーン類の定義を擬微分作用素バンドルの幾何学として構築していく。ここでは、特に発散の問題をWodzickiトレースの手法を取り入れて解決を図る。そのために、関連する物理学や非可換幾何学の国内外の研究者との討論や共同研究を推進する。また、学会等での成果発表を積極により、多くの研究者からの判断を求めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に海外で出版された幾何学関係専門書を購入を予定していたが、代理店 からの入荷が3月中には間に合わないことが判明したので、購入をキャンセルし た上で、他に使用したが、およそ8千円弱の金額が残ったため。 昨年度、購入予定であった、専門資料を購入する予定。
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