2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25610022
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
村上 順 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90157751)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子群 / 射影表現 / 結び目不変量 / 3次元多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,量子群のパラメータが1の冪根のものについて,射影表現に注目して,その表現論的性質を研究するとともに,結び目や3次元多様体への応用についても調べた. 本研究で研究対象とした表現は,量子群の最高ウェイト表現と呼ばれる半単純な表現の射影被覆と呼ばれる表現である.このような表現に注目するきっかけはカシャエフによる量子不変量と双曲体積の関係の発見にある.量子群のある特別な表現に対応する結び目の不変量から結び目補空間の双曲体積が得られるというのであるが,この特別な表現というのを一般化したものが最高ウェイト表現の射影被覆だということを見出し,この射影被覆に対応する結び目や3次元多様体の不変量,また,3次元多様体中の結び目の不変量を構成し,これらの双曲体積との関係を調べた. 主な成果は,Quantum Topology に発表予定の論文 Generalized Kashaev invariants for knots in three manifolds にあるものとその一般化である.この論文を書く前から,射影被覆に関連する結び目の量子不変量の構成を行い,logarithmic 不変量と呼んでいたのであるが,この論文では,3次元多様体中の結び目の不変量を3次元多様体のヘニングス不変量と結び目の logarithmic 不変量とを組み合わせて構成し,さらに,この不変量と,この3次元多様体から結び目を軸として構成される錐多様体の体積との関係について調べた.これはカシャエフにより最初に予想された量子不変量と双曲体積との関係を3次元多様体中の結び目にまで拡張したものである.これらの予想の一般的な場合についての厳密な証明はまだできていないが,量子不変量と幾何的な性質とが深く関係していることを示唆している.
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