2013 Fiscal Year Research-status Report
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25610023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石毛 和弘 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90272020)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 凸性 / 放物型方程式 / 熱方程式 |
Research Abstract |
熱方程式の解は適当な境界条件の下、初期値関数が対数凸 (零凸) であるならば、任意の時刻に対して (時間変数を固定し) 空間変数の関数として初期値関数が対数凸 (零凸)であることが良く知られている。しかしながら、時空間変数に関する冪凸性の解析はほとんど為されていない。 本研究では、放物型冪凸という新しい概念を導入し, 放物型方程式の解の時空間変数に関する冪凸性の研究を行った. この放物型冪凸という概念は、熱方程式の自己相似性に関して不変な概念であり, 熱方程式の解の凸性を考察する上で自然な概念であると考える. この研究はフィレンツェ大学のパオロ サラーニ氏との共同研究によるものであるが, この中で、放物型冪凸が成立するための十分条件を考察し, 1980 年代の楕円型方程式の解の冪凸性の結果の放物型版に相当する結果を得ることに成功した. この放物型冪凸にはその凸性の強さを表す階層が自然に導入されるが、この意味において、この研究結果の与える放物型冪凸性の強さは最適である。 この研究結果は、解より大かつ最小の放物型冪凸最小関数を定義し、その関数が粘性解の意味において劣解であることによって得られるが、その証明方法は放物型冪凸性の性質を効果的に用いた新しいものである。また、この解析には、境界から解が増大する様の詳しい解析が必要となるが、これは領域の変形を伴った熱方程式の自己相似変換を用いた極限についての解析が有効であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予想していたよりも完成度の高い結果を得ることができ, 第一の目標である放物型冪凸の妥当性を証明できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
近年の楕円型方程式の解の凸性の結果と比較検討しつつ, 放物型冪凸の研究の有用性およびその応用性について考察していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画よりも優れた研究成果が得ることができ, その研究成果のとりまとめ及びその意味について考察することを優先した. 2013年度の研究成果を土台として, 共同研究者であるパオロ サラーニ氏 (フィレンツェ大学) と研究連絡をとりつつ, 研究を進めていく. また, 国内外の研究者との研究連絡は, 研究の深化や方向性を考える上で重要であり, 2014 年度においては, 国内外を含めた旅費を中心に助成金を使用し, 研究を進めていく.
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