2014 Fiscal Year Research-status Report
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25610023
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石毛 和弘 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90272020)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 凸性 / 放物型方程式 / 熱方程式 / ミンコフスキー和 / 弱連立非線形問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の昨年度の研究実績である放物型べき凸という概念を発展させ、全空間における熱方程式の解の凸性について研究を行い、ある凸領域の特性関数を初期値にもつ熱方程式の解のある種の変形が放物型べき零凸性をもつことを示した。
さらに、有界凸集合上において熱方程式を考え、その解の凸性について研究を行った。通常、熱方程式の解は冪零凸性しかもたないが、初期関数がより強い凸性を持つ場合、解自体ではなく、その時間積分が初期関数と同等の凸性を有することを示した。これは、時間積分を行うことにより、ある種の平均化がなされ、初期関数のもつ凸性が顕在化することを示唆する興味深い研究である。この研究成果は、解の時間積分が非斉次熱方程式の解になることにより、本研究課題の昨年度の研究実績である放物型べき凸の研究成果を適用することによって得られる。
また、この他、領域のミンコフスキー和と解との関係、弱連立非線形放物型方程式系の解の凸性についても研究を行った。領域のミンコフスキー和とは2つの領域の各点を結ぶ直線を一定の割合で内分することによって得られる点全体の集合である。この研究は上記の放物型べき凸の研究の応用と言えるものであるが、領域のミンコフスキー和上での解を元々の2つの領域における解を用いて各点評価や積分量などの定量的な評価を与えるものになっている。放物型方程式において、このような研究は類がない。また、弱連立非線形放物型方程式系の解の凸性の研究も従来にはない新しい研究であるが、本研究で培った解析手法の優位性を利用し、さらに放物型方程式系の粘性解理論を構築することによって為されている画期的なものになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、研究計画初年度の研究成果を深化・発展させることを計画していたが、その計画は遅れを伴っているものの研究成果としては着実に挙っている
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの研究成果の意義およびその発展性を精査し、国内外の研究者と研究連絡を行いながら、研究成果をとりまとめていく。
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Causes of Carryover |
放物型方程式およびその系が興味深い凸性を内包すること、また、領域のミンコフスキー和と解の関係等、当初の予想を超えた興味深い数学的現象を発見した。それらの結果を数学的な結果として確立するために多くの時間が費やされてしまい、結果として、計画通りの予算執行ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の研究成果を基に、2015年度における解の凸性研究の研究者が集まる国際研究集会で議論し、研究を推進する。その成果や研究の進展を見据えつつ、国内外を含めた研究集会で議論を行い、研究者の招聘等も行いながら、旅費を中心に助成金を執行していく。
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