2014 Fiscal Year Research-status Report
放物型偏微分方程式における動的特異点の除去可能性と漸近形
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25610026
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柳田 英二 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (80174548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 徹 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (60647270)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 関数方程式の大域理論 / 特異性 / 安定性 / 漸近挙動 / 分岐構造 / 国際研究者交流 / 国際情報交換 / 多国籍 |
Outline of Annual Research Achievements |
線形および非線形熱方程式の特異解について研究を進め,以下のような成果をあげた. ・非線形増大項を持つ半線形放物型方程式に対し,動的特異点を持つ解の構成,および特異点での漸近形の解析を行った.具体的には,まず,非線形項に対する適当な仮定の下,指定された強さの動的特異性を所持する解が存在することを示した.さらに,動的特異点を持つようないかなる解も,ほとんど至る所の時刻をとめるごとに,空間変数に関してラプラス方程式の基本解と同程度あるいはそれ以下の特異性しか持ちえないことを示した.
・藤田型方程式に対し,特異な初期値に対する解の一意性について調べた.その結果,ある条件の下で,解の一意性が成り立たないことを明らかにし,これまでの予想に反例を与えることに成功した.その証明のために,ある種の放物型方程式に対するヘテロクリニックな接続解が存在することを示し,これが一意性が破れるためのメカニズムを与えることを示した.また,より一般に,任意の初期値についても,一意性が成り立たないことを示唆した.
・吸収項を持つ半線形放物型方程式に対し,すべての動的特異点が除去可能であるための条件について詳細に調べ,そのほぼ必要十分と考えられる条件を明らかにした.また,除去可能でないときには,特異定常解と同じ強さの特異性を持つ特異解と,ラプラス方程式の基本解と同程度の強さの特異性を持つ特異解の,2種類のタイプしかないことを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線形熱方程式については,特異点の除去可能性について研究をまとめて論文を投稿し,受理された. 吸収項を持つ放物型方程式については,特異点の除去可能性,特性のタイプの分類を完成させて論文にまとめ投稿中である. また,発熱項を持つ放物型方程式についても,これまでに扱われていなかったパラメータ領域について,特異解の存在条件について研究の進捗があった.
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Strategy for Future Research Activity |
空間が全領域の場合については特異点の除去可能性のための条件と,特異性を保持する解の性質についておおよその数学的構造が明らかになった.今後は境界のある領域の内部に特異点を持つ解の性質について調べるとともに,境界上にある特異点の除去可能性について検討を加える予定である.
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Causes of Carryover |
得られた正解について国際研究集会で発表する予定であったが,参加を予定していた研究集会が平成27年度に開催されることになり,そのための旅費が繰り越しになった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は研究計画の最終年度であり,得られた成果を国内外の研究集会において発表するとともに,連携研究者を招へいして残された課題について研究の完成を計る.
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Research Products
(9 results)