2014 Fiscal Year Research-status Report
四色定理の理論的別証を導く切断多面体の正規性予想の肯定的解決への挑戦
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25610032
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日比 孝之 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (80181113)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 切断多面体 / 切断イデアル / トーリックイデアル / グレブナー基底 / 正規多面体 / Hilbert basis |
Outline of Annual Research Achievements |
有限グラフに付随する切断多面体の正規性の探究を、グレブナー基底の代数的理論の観点、及び、凸多面体の組合せ論の観点から、多角的に展開し、切断多面体の正規性予想と呼ばれる懸案の予想「有限グラフに付随する切断多面体が正規であるための必要十分条件は、その有限グラフが5次の完全グラフ K_5 をマイナーとして持たないことである」を肯定的、あるいは、否定的な解決に挑戦することが、本挑戦的萌芽研究の目的である。その背景には、切断多面体の正規性予想の肯定的解決から、四色定理が従う(David E. Speyer)ことが潜んでいる。 平成25年度は、切断多面体の正規性予想の肯定的な解決に挑戦したが、平成26年度は、研究の方針を転換し、切断多面体の正規性予想の否定的解決、すなわち、反例を構成する研究に着手した。平成25年度の計算機実験による結果を検討し、従来の研究を踏襲すると、肯定的な解決に向けての努力をすることが妥当なように思えるが、しかしながら、平成25年度の研究から、肯定的であるとの絶対的な状況証拠が得られたとは言い難い。それゆえ、平成26年度は、切断多面体の正規性予想の否定的な解決に向けての研究を展開することを決断した。もっとも、闇雲に、反例を探すことをしても無駄であるから、切断多面体の Hilbert basis を有限グラフの組合せ論を使って記述し、切断多面体の膨らましに含まれる整数点の状況を可能な限り厳密に把握することから、切断多面体の正規性予想が肯定的であると思われる有限グラフの類の幾つかを特定し、その類に含まれない有限グラフの切断多面体から反例を探す方針で研究を推進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本挑戦的萌芽研究はエフォート 10% の研究であるから、十分な時間を費やすことは困難である。しかしながら、切断多面体の正規性予想が肯定的であると思われる有限グラフの類の幾つかを特定することから、切断多面体の正規性予想の反例となる候補を列挙することができたから、研究の展開としては十分であると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
切断多面体の正規性予想の肯定的解決と否定的解決の両面から研究を展開する。
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Causes of Carryover |
ドイツの共同研究者のスケジュールの変更により、外国出張を翌年に延期した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
外国出張
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