2013 Fiscal Year Research-status Report
水酸基メーザー天体に対する広域探査と高精度位置計測手法の確立
Project/Area Number |
25610043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
今井 裕 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (70374155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝木 義晴 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, その他部局等, 助教 (00332148)
中西 裕之 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (90419846)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水酸基メーザー / 高精度天体位置計測 / 像合成シミュレーション / 天の川銀河 / 広視野掃天探査 |
Research Abstract |
電波干渉計撮像シミュレーションARIS(Astronomical Radio Interferometer Simulator)を利用して、将来行われるSquare Kilometre Array(SKA)と既存望遠鏡群組み合わせた超長基線電波干渉法(VLBI)観測に基づく電波源の高精度位置計測のシミュレーションを実施した。その結果のうち水酸基(OH)メーザー源については、期待通りの位置決定精度(100マイクロ秒角)が得られる見通しが得られた。これをもとに、電離層の影響や位置計測に参加する電波望遠鏡群の配置によってこのような精度が得られる条件を絞り込むことができると期待される。また、信号記録帯域幅を増やすことによって、天の川銀河周辺(局所銀河群中)の銀河中にあるVLBI電波源の検出とその固有運動の検出可能性についてまで検討を進めることができた。ただし、水蒸気メーザー源によるものであるが、メーザー源の輝度分布構造の時間変化が年周視差計測に大きな影響を与えることを明らかにしている。高い角分解能が得辛いOHメーザー源の場合は、このような影響をより悲観的に考慮しなければならない。一方実際のOHメーザー源位置計測については、本研究で計画していたOHメーザー源と位置参照電波源を同一望遠鏡視野に入れた計測の提案が米国VLBAと南半球LBAに採択され、3つのOHメーザー源についてVLBAを用いたVLBI観測を開始することができた。OHメーザー源の広域探査がParkes 64m電波望遠鏡によって一部進み、感度がまだ比較的低い観測でも掃天域4°×10°の中に約100個のメーザー源を検出した。この感度で検出されるOHメーザー源の数は銀河面付近で約3000個程度だと推定され、天の川銀河の立体構造を把握するための位置指標の数としては将来充分大きなものが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OHメーザー源に対する高精度位置計測に向けた準備、位置計測精度に関するシミュレーションについては、当初の想定通り進展したと考えられる。OHメーザー源掃天探査については、国際共同研究への参加という形をとったため、当初の想定よりも進展したと考えられる。しかし一方で、ASKAP(Australia SKA Pathfinder)を使ったOHメーザー源の掃天探査については遅れていると考える。ASKAPはようやく6アンテナを使った広視野電波干渉計撮像にまで到達した段階である。我々が進めるGASKAP(Galactic ASKAP Spectral Line Survey)については、次年度の終わりに広視野撮像が開始できる見通しになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
OHメーザー源に対する高精度位置計測については、VLBAやLBAを使って予定通りに進め、精度検証や年周視差計測の可否について判断できるレベルまでデータ分析を進める。科学的成果としてまとめるためにはより大きなOHメーザー源の位置計測サンプルが必要で、そのために欧州VLBI観測網(EVN)を使って観測できるように研究計画をまとめる。位置計測精度に関するシミュレーションについては、様々なケースに対してシミュレーションを実行することを通して、SKAで達成できる科学目標の見通しを提案し文書化するところまでまとめる。Parkes望遠鏡を使ったOHメーザー源掃天探査については、より広域をカバーしたデータの解析に着手し、OHメーザー源の統計的性質の導出を目指す。これにより、OHメーザー源が付随する星々の進化段階やこれらの星々の天の川銀河の中での分布や運動の性質を明らかにする。ASKAPで得られる試験観測データの処理・分析に着手し、次年度からGASKAP掃天観測に着手できる段階にまで準備を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
想定してた論文掲載料の支出がなかったから。 既に受理された論文の掲載料として使用する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Astrometry and Spatio-kinematics of H2O Masers in the Massive Star-forming Region NGC 6334I(North) with VERA2014
Author(s)
Chibueze, James O.; Omodaka, Toshihiro; Handa, Toshihiro; Imai, Hiroshi; Kurayama, Tomoharu; Nagayama, Takumi; Sunada, Kazuyoshi; Nakano, Makoto; Hirota, Tomoya; Honma, Mareki
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Journal Title
Astrophysical Journal
Volume: 784
Pages: 114 (8 pages)
DOI
Peer Reviewed
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