2014 Fiscal Year Research-status Report
速中性子精密エネルギー測定のための新型検出器の開発
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25610047
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤井 優 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30302079)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高速中性子 / エネルギー測定 / CLYC |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、まず東北大学サイクロトロンラジオアイソトープセンター(CYRIC)において昨年度に実施した、7Li(p,n)反応で生成した準単色中性子を用いた実験のデータ解析を行った。 中性子の入射エネルギー 28 MeV においては、発光量から見て、35Cl(n,p)反応から来ているであろう幅の広いピークがスペクトルに見られたが、より低い入射エネルギーにおけるデータでは、予想される発光量の位置にピークの確認はできなかった。これは、低いエネルギーの単色中性子を np 弾性散乱にて得ていたため、バックグランドと統計的に区別できなかったものと結論づけられた。
np 弾性散乱を用いた低エネルギー単色中性子を得ることは、CYRIC では難しいと考え、本年度は東北大学工学研究科の高速中性子実験施設を用いた実験を行う方向で検討していたところ、先行研究(Fast neutron response of 6Li-Depleted CLYC detectors up to 20 MeV, N. D'Olympia et al., Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 763 (2014) 433-441)が7月4日に公表され、本研究の当初目的であった、35Cl(n,p)反応による中性子エネルギーの測定について詳細な検討が既になされていたことが明らかとなった。その研究によれば、中性子エネルギー 4 MeV までは実用化が可能であることが示され、また 8 MeV までであれば、検出効率は落ちるものの、ピークとしてスペクトルに現れるが、それ以上のエネルギーでは、他の反応チャンネルが開くことから、幅広いピークとしてしか現れず、エネルギー測定に使えないということが示されていた。 このような状況のもと、今年度は研究計画を改めて立て直すため、CLYC に関する論文等を詳細に検討することを中心に行い、今後何をすべきかについてをまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究は計画より多少遅れていたものの着実に進捗していたが、先行研究により予定していた研究内容について発表されてしまったため。しかしながら、研究期間を一年延長し、当初計画よりもさらに進んだ研究に組み直したため、最終的には当初計画以上の進展が得られるものと期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究の発表を受けた研究計画の見直しにより、研究期間を1年延長することとし、次年度は、発光波形の温度依存性を研究し、発光を起こした荷電粒子が陽子、重陽子、3重陽子、α粒子のいずれかであるかが、温度を変えることで弁別できるかについての研究を行うこととした。この背景には、前記のどの荷電粒子で発光が起こったかが室温での発光波形では弁別できず、その結果として中性子のエネルギー分解能の悪化が起こっているという研究結果が存在する。
もし、温度を変えることで弁別が可能となった場合には、より高い中性子エネルギーに対しても、波形をもとに補正を加えることで、より高い中性子エネルギーまで良い分解能を保つことができると考えられる。
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Causes of Carryover |
先行研究により、本研究課題で目標としていた点が明らかとなり、本年度は専ら論文等を詳細に検討しより発展した研究計画を開発することに重点を置き、次年度に集中的に予算を使用することとしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
不足していた、本研究専用のコンピュータを一台購入する。また、実験計画に合わせた治具等の小物類、国内ないし海外の国際会議への参加旅費に用いる。
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