2014 Fiscal Year Research-status Report
光読み出し型球形一相式液体キセノンドリフトカロリメーターの開発
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25610054
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 好孝 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (50272521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 公明 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (40173744)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 宇宙線 / 素粒子実験 / 実験核物理 / 放射線 / 低温物性 / 宇宙物理 / 暗黒物質 / 液体キセノン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では,東大宇宙線研と協力したTPC電極開発及びS2読み出しテストと、現真空容器の改造作業及び気相モードでのTPC動作試験の2方面に分けて研究を行った。 前者では、東大宇宙線研が神岡で開発を進めている液体キセノンテストベンチを利用し、その寸法に合わせてTPC電極試験用真空容器を製作した。容器は上下から小型角形PMTで読み出すようになっており、用途に合わせ液相体積を変更可能となっている。昨年度までに温度コントロールの試験を重ね、まもなく液体キセノン導入可能な段階にある。電極としてはガラスGEMを用いた平行平板型を想定して、FEMETを用いた有限要素シミュレーションで電極電場の設計を行った。 一方、既存真空容器の改造として、従来内容器全体を下部から液体窒素で冷却する方式だったものを改め、上部フランジにコールドフィンガーを装着し、ガス層を直接冷却する方式に設計変更した。これに伴いPMT読み出し窓を上部から下部フランジへ変更し、まず改造後の内容器のみを用いて、純アルゴンをもちいて常温ガスTPCとして高圧印加と光読み出しテストを行った。同時に高圧を印加するための電極ワイヤーと高圧印加回路、高圧と信号のフィードスルー電極、またアルゴンからの短波長紫外線を波長変換するためのサリチル酸ナトリウムを塗布した変換プレート、等の製作を行った。実際に1.5気圧の純アルゴンを封入して高圧を印加し、宇宙線による気体アルゴンシンチレーション光の読み出しテストを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では液体キセノンを液化するためのセットアップを自前で構成し、シンチレーション発光(S1)の観測を達成できている見込みであったが、冷却能力や冷却方法に問題があり熱設計をやりなおすことになった。この点を補うため、東大宇宙線研と協力して液体キセノン液化ベンチについては宇宙線研のものを利用し、電極テストに専念することになった。液体キセノンの液化とS1信号の確認はまもなく達成されると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
液体キセノンのテストベンチついては東大宇宙線が準備中のものを利用することで、本研究では電極製作など液相1相型TPCの要素開発に集中し、TPCの原理実証と発光量、エネルギー閾値、などのパラメータ測定に専念する。電極はすでにTPCとして運用実績のあるGEM基板を用い、比例シンチレーション光(S2)の観測を目指す。現有真空容器については、上部冷却方式に改造し今後名古屋での試験にも使用できるような改造を施すとともに、純アルゴン、純キセノンのガスを封入した高圧希ガス光読み出しTPCとして動作させることで、システムのデバッグを行い、将来の本格的な冷凍機導入に備える。
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