2015 Fiscal Year Annual Research Report
光読み出し型球形一相式液体キセノンドリフトカロリメーターの開発
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25610054
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 好孝 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (50272521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 公明 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (40173744)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 宇宙線 / 素粒子実験 / 実験核物理 / 放射線 / 低温物性 / 宇宙物理 / 暗黒物質 / 液体キセノン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は宇宙線研究所神岡実験施設内に設けた液体キセノンテストベンチに、実際にGas Electron Multiplier(GEM)型増幅電極を装備した液体キセノン検出器を組み立て、液相一相式のタイムプロジェクションチャンバーとして動作させる事を試みた。増幅用のGEMとしてはガラス製の厚型GEMを用いた。同様の厚型GEMについて、数kV程度の引火電圧で、60kV/cm程度の増幅電圧の場合でも比例蛍光増幅が起きたとされる先行研究を検証した。まずGEMへの印加電圧無しで、ドリフト電場と一次シンチレーション(S1)光量との関係について、検出器内部に設置したアメリシウム241線源を用いて測定した。その結果、S1光量は約1kV/cmのドリフト電場に対して約20%低下した。概ね先行研究を再現し電離電子を概ね正しくドリフトできている事を確認した。次にGEMの両面に2kVの電位差を印加し、約30kV/cmの増幅電場を形成したが、有意な遅延比例蛍光(S2)は観測されなかった。この事から先行研究が報告したGEMでの数十kV/cm印加時の比例蛍光検出は、液相での比例蛍光増幅はなくガラス菅内に残ったキセノンガス相での電離増幅によるものと推察された。一方、比例蛍光増幅に十分である事が分かっている~400kV/cmの電場を実現可能なワイヤー電極式の増幅電極の設計を進め、実際にプロトタイプを製作した。今後、このワイヤー電極を用いて、液相一相式液体キセノンTPCの開発を進め、基本性能の検証を行っていくことができる。
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