2014 Fiscal Year Annual Research Report
暗黒物質探索のための真空紫外光および近赤外光の直接検出法の確立
Project/Area Number |
25610060
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
寄田 浩平 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (60530590)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | アルゴン発光 / 真空紫外光 / 赤外光 / VUV-MPPC / 暗黒物質探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はAr蛍光の中の赤外成分の詳細検証と、極低温下で真空紫外光を直接検出可能な光検出器の開発・試験という2つから成っている。昨年2013年度は主に赤外光に関して、VUVとの相対光量比較や粗い波長分布測定結果などを物理学会で報告した。そこで2014年度は、-186℃(液体Ar温度)という極低温下でAr蛍光の主成分である128nmを直接検出することに焦点を当て、研究開発を行った。Arをターゲットとした暗黒物質探索においては、検出光量の増加とともに、精度のよい発光位置同定による背景事象の分離が非常に重要な要素となる。発光位置の同定には波長変換後(128nm→420nm)の間接光よりも128nmの直接光の方がより発光位置情報を有している。そのため、VUVが直接観測できれば、Arを用いた新しいタイプの暗黒物質探索実験が可能となる可能性がある。そこで、極低温で128nmに直接感度のあるVUV-MPPC開発試験を浜松ホトニクス社と協力して行った。浜松ホトニクス社が作成したサンプルMPPC(3X3MM-50UM VUV2)の試験を早稲田キャンパス内に構築した低温装置を用いて行ったところ、cross-talk等の影響を取り除いたPDE(Photon Detection Efficiency)はおよそ7%程度であることがわかった。また、期待どおり低温ではdark count rateが顕著に下がり、-150℃以下では1Hz以下に抑えられ、波形時定数も変化がないことを確かめることができた。これらの結果は全てarXiv:1505.00091にまとめている。 2014年度末にcross-talk抑制型の新しいVUV-MPPC(3X3MM-50UM/100UM VUV3, 今回は50Uと100U)のサンプルをすでに提供されているため、その試験結果を学術論分にまとめ、公表する予定である。
|