2013 Fiscal Year Research-status Report
Sine Square Deformationを用いた弦理論の双対性の究明
Project/Area Number |
25610066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
多田 司 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 副主任研究員 (10322603)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Sine-square deformation / string duality |
Research Abstract |
境界条件は、通常物理系を規定する付随的な所与の条件として扱われる。一方で、弦理論の研究においてはこの付随的な条件が開弦と閉弦を区分し、またDブレインを通じて弦理論のダイナミクスを体現している。近年量子スピン系等の研究から、結合定数を空間的に変調させることにより、開放端境界条件の系の基底状態を周期境界条件を課した系のそれと一致させることができることが見出された。この変調はSine-square deformationと呼ばれる。 このようなことが可能であることは、弦理論のダイナミクスの研究において重要な意味を持つ。すなわち、同様の変調によって開弦と閉弦の移り変わりやDブレインの生成がコントロールできるのであれば、弦の世界面の記述によって、弦理論のダイナミクスを解析する手がかりが得られるからである。本研究ではSine-square deformationを弦理論に適用し、弦のダイナミクス研究へつなげることを目指している。 今回、Sine-square deformationを行うことにより、弦の世界面の計量が発散すること、またSine-square deformationの操作が、世界面のsl(2,c)変換によって引き起こされるようなtrivialなものでないことが確認された。またSine-square deformationを行った理論には、通常の基底状態の他に、共形場理論のprimary stateに対応して規格化できないエネルギーの最低状態が存在することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度においては、まず弦理論においてSine-square deformationが実際に適用でき、意味のある結果が得られるかどうかを確かめることを計画していたため、この点については肯定的な結果を得ることができた。またSine-square deformationを施した系の特長としてあらたなエネルギーの最低状態を見出すことができ、この系の性質を調べる上で重要な手がかりを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでで新たに見出した状態を含め、基底状態については基本的な理解を得ることができたため、今後は励起状態についての研究を進める。特に他の系での研究の成果を参照しつつ、弦理論すなわち共形場理論において、どれだけ一般的な励起状態が構築できるかを、試みる。また弦の場の理論で使われた技術の応用についても試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究会開催において想定していた国外研究者の招聘旅費の一部が、他機関からの負担で賄えたため。 国内外の研究者若干名を招聘しての小規模な研究会またはセミナーを行う。
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