2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25610093
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清水 康弘 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (00415184)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 光検出磁気共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
光検出磁気共鳴法の固体NMRへの目指し、ルビジウム原子磁力計を用いたポンプ-プローブ偏光測定を行った。光検出NMRは、これまで粘性の低い有機溶媒でしか成功していなかった.固体では、超微細相互作用や核間双極子相互作用の異方性と格子緩和により、核スピンコヒーレンス時間が溶液に比べて大幅に短くなる。そのため、永久磁石による核スピン偏極から測定までの時間を短縮する必要があった。本研究では、試料の移動速度の高速化を試みるとともに、光学振動子を用いた測定感度の改善を行った。その結果、緩和時間の速い粘性液体およびゲル状試料において、ゼロ磁場および超低磁場下での13C NMR信号の検出に成功した。二次の超微細相互作用であるJ結合により細かく分裂したNMRスペクトルを観測し、核スピン間のスカラー積の厳密解と一致する結果を得た。さらに、詳細に温度と水溶液濃度依存性を測定することで、粘性と水素結合の微視的な相関について明らかにした。 この結果は、コンフォメーション異性体のある分子構造解析や粘性流体の緩和時間測定に関しても、光学検出NMRが有効であることを示している。また、測定の高速化を実現したことで、新たに粘性流体や固体NMRへの道を切り開いた。さらに、ダイアモンドカラーセンターを用いた磁力計開発に取り組み、低温まで固体試料の精密磁化イメージングが可能な測定系をセットアップした。
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