2015 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡ゆらぎから自律運動へのモード分岐:散逸系の新シナリオ
Project/Area Number |
25610111
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
吉川 研一 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (80110823)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非線形ダイナミックス / 非平衡開放系 / 非平衡ゆらぎ / エネルギー変換 / ミクロ運動機関 / 時空間秩序 / 動的階層構造 / 自律運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度はでの特筆すべき成果としては、水面上にフッ素系の油を展開したときに、自発運動を伴って生じる、時空間秩序構造に関する研究が挙げられる。弱揮発性のperfluorooctyl bromide (PFOB)を水面に滴下すると、水面上で薄膜を形成し、水面に対してPFOBが濡れた(wet)状態になる。徐々にPFOBが蒸発すると、突然薄膜上に空孔(hole)が現れ、その周りに液滴が自発的に配列する(pearling)する。空孔の成長に伴い、次の段階では、放射状に小滴群が1次元配列パターンを形成する。その後、この小滴群は全体として膨張・収縮を繰り返し、2次元のハチの巣構造(hexagonal)を形成するといった、時間発展が起こる。このような自発的な秩序と液滴の集団運動に関して、理論的な考察を行い、濡れ転移の非線形性を考慮することにより、このような規則構造の現れる機構を説明した。ここで、濡れ転移が、基本的には双安定性を示す現象であり、その速度過程は薄膜の厚みdの3次の非線形項で表されることが、理論モデルの骨格となっている。今回見出された現象は、生物の集団運動など、自然界にみられる非平衡開放条件に起因する時空間の自己秩序形成のメカニズムを理解するためのよいモデル系になると期待される。なお、本研究は、2015年度のNature Communications誌に掲載されている。 研究期間全体を通しての成果としては、非平衡定常条件下での自律運動についての、実験的研究では、画期的な発見がなされてきている。例えば、上記の系以外にも、光照射により、cmサイズの物体の並進・回転運動を引き起こすことが可能であることを見出している。この研究は年度内に更に進展し、cmサイズの液滴が、レーザー強度の増大に伴い、静止・ランダム・往復・回転の運動のモード分岐を示すことも報告することができている。また、これらの自律運動に関しての理論的研究も大きく発展した。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Physics of Life2016
Author(s)
K. Yoshikawa
Organizer
Kyoto Winter School 2016, From Materials to Life: Multidisciplinary Challenges
Place of Presentation
京都大学
Year and Date
2016-02-15
Int'l Joint Research / Invited
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