2014 Fiscal Year Research-status Report
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25610122
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小貫 明 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (90112284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 隆一 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (10636385)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水和効果 / ナノバブル / 電離 / 化学変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に開発した計算手法を、電極にはさまれた水分子体系に応用した。金属面近くで大きく水素結合構造がゆがめられること、電極近くでの大きな電圧降下が起こり誘電応答に影響を及ぼすことなどがわかった。また水素結合の集団的組み換えが見出された。特に外部からの電場を反転させダイポールの向きの反転過程を調べた。そこではる水素結合の集団的運動が支配的である。これらの発見はJ.Phys.Chem Bに掲載された。現在さらに進行中の計算は次のようになる。イオンの水の中での電場による運動を微視的に調べている。小さなイオンは5-6個の水分子と水和構造を構成してるので、印加電場下では数個の水分子を引き連れて動きまた水和構造が壊れる場合間歇的に巨大なエネルギー揺らぎを示す。水のなかでのイオン間相互作用は複雑な多体問題であり、イオン濃度が増すとともに水分子を介したクラスターが形成される。特に過冷却水中ではイオンクラスターの運動が遅くなり際立った不均一性が発見された。これらの発見は水の塩添加によるガラス化の具体描像を初めて与えている。別なテーマであるが、液晶中のコロイドにおいて電場を与えた場合の現象の理解は不十分である。電場はコロイド周りで不均一になり局所的配向秩序ができる。これらの成果は、Softmatterに掲載された。コロイド粒子間の集合化において、溶媒が2成分であるとコロイド間に相分離が引き起こされる。bridgingと呼ばれる効果である。申請者らはこの相分離を介在にした集合化の解析をした。また大気圧は水の飽和蒸気圧に近くため酸素などのガスが水に昆入することにより小さな気泡が発生しやすい。この良く知られた現象は、酸素分子などの比較的弱い疎水性水和効果によって起こることを明らかにした。これら成果は投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
達成度は90%である。電場下の水のミクロな大規模計算のためには、物理化学のパッケージ使用は無理で、一歩一歩膨大なプログラムを構築しないといけない。すると物理化学の専門家には看過されていた興味深い基本問題が次々に現れた。我々はこの分野の初心者でありまだ手始めの論文が掲載された段階である。発表論文は将来増えるものと確信している。また溶媒効果による多彩なコロイド相互作用などかなりの進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに水の誘電的性質、イオン運動、表面での化学反応動力学などの研究を継続する。
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Causes of Carryover |
今まで膨大な計算機プログラム構築と点検に多くの労力を費やした。そのため従来からの計算機でやりくりが可能となり、大規模計算のための新規計算機の購入を控えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は準備段階も終わり、2名の分担者の協力のもと大規模計算を実行し科学研究費を使用したい。また海外での発表も2回ほど計画している。分担者にも国内海外での発表をお願いしている。
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Research Products
(3 results)