2015 Fiscal Year Research-status Report
水面上の微小水滴の生成・浮遊機構とその集団運動:コーヒーの湯気の物理学
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25610124
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中西 秀 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90155771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 正敏 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (40403919)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 微小水滴 / 表面張力波 / 水蒸気 / 凝集 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱水上に浮揚する微小水滴について、これまでの顕微鏡及び高速ビデオによる観察によって、(i)水滴は摂氏50度以上の熱水上に存在し、(ii)大きさは半径5~10マイクロメータ―程度で、水温とともに大きくなり数も多くなる、(iii)水面から数10マイクロメータ―程度の高さに浮揚している、(iv)時折上空から落下して水面直上にとどまる、(v)時折、個別に消滅したり、数百個が一斉に集団消滅する、(vi)集団消滅はただ一つの水滴の消滅から始まり、波面が伝わるように1~2m/s程度の速さで周囲に広がる、(vii)集団消滅の波面が通り過ぎた後にも消滅せずに残る個別の水滴やクラスターが存在する、(viii)この現象は熱水に界面活性剤を加えても定性的には変化しない、ということが明らかになっている。 これらの観察結果、特に、集団消滅の伝播のダイナミクスを理解するために、表面張力波の伝播のエネルギー収支について概算した。即ち、表面張力波の伝播に際して、落下した微小水滴の解放される表面張力と、水の粘性によるエネルギー散逸がバランスするとして維持される表面張力波の振幅を見積もり、それが、浮揚している水滴をのみこむのに十分であることを確かめた。 水滴の浮揚力の候補として、熱水表面の水蒸気流が考えられるが、直径10マイクロメータ―の水滴を浮揚させるためには5pN程度の力が必要で、そのためには5mm/s程度の水蒸気の流速が必要であることを見積もった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
微小水滴の大きさや、消滅のダイナミクスの観察には成功したが、その次の段階としての、水滴の浮揚の物理的メカニズムを推定するための、実験的工夫が十分できなかった。また、アイデアを実行するための人員を十分確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
分担者との連携をみつにして、実行可能な水滴浮揚メカニズムを明らかにするための実験方法を検討し、実施するための人員を確保する。
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Causes of Carryover |
成果発表のための研究会が2016年度に開催されるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年5月に開催される国際会議に出席する。
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