2013 Fiscal Year Research-status Report
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25610125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 康之 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00225070)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コロイド / 3次元観察 / ガラス / 準結晶 |
Research Abstract |
本研究では従来研究されていないエキゾチックなコロイド系を実現し、それらの2次元および3次元時空間構造を1粒子レベルで直接観察することで、これらが示すと期待されるガラス系、液晶系、準結晶系等の新規構造とそのダイナミクスに関する知見を実験的に得ることを目指している。このために平成25年度は以下の2種類のエキゾチックなコロイド粒子作成とそれらの示す構造形成に関する研究を行った。 [1] 形状異方性粒子系の実現とその相挙動の研究 本年度は市販の粒径分布が狭い直径3ミクロンのポリスチレン粒子を加熱延伸して、長軸短軸比が2である回転楕円体粒子を作成した。作成した粒子を高濃度で水に分散し、その溶液を厚さが粒径程度の狭い空間に閉じ込め、2次元の楕円体粒子分散系の作成した。顕微鏡下を用いて1粒子の分解能でその重心位置および配向を決定した。これをもとに密度分布関数や中間相関関数などを算出し、その構造およびダイナミクスに関する知見を得た。 [2] ハードコア-ソフトシェル粒子系の実現と評価 本年度は、市販のカルボキシル基で表面修飾された球状粒子を原料として、ストレプトアビジンコートされたコロイド粒子を作成し、これに末端をビオチン化したλDNAを結合させ、長いひげの生えたコロイド粒子作成を行った。現在までに、DNAを蛍光染色して表面にDNAが結合していることを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[1] 形状異方性粒子系の実現とその相挙動に関しては、分散の少ない楕円体粒子作成に成功して、それを用いた2次元分散系の実験的観察に成功しており、さらにそのデーターを用いて系の構造やダイナミックスに関する知見を得ることに成功している。また、球と楕円体の2成分系に関しても、その割合の変化による構造変化を明らかにしている。 [2] ハードコア-ソフトシェル粒子系の実現と評価に関しては、DNAコート粒子の作成に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
楕円粒子系の研究においては、重力による沈降のみではいまだに系をガラス転移濃度まで濃縮することには成功していない。そこで、来年度は遠心分離による強制的な沈降を行い、全体の濃度を凝縮することでガラス状態を実現することを計画している。これとは別に、ポリスチレン粒子がレーザーによる温度勾配に従って、レーザースポットから遠ざかる性質を利用して、空間的にレーザーをスキャンして作った領域の内部に粒子を閉じ込め濃縮し、濃度を自在に変化可能な系を作成することを計画している。これに加え、来年度は市販の蛍光粒子を原料として楕円体粒子を作成し、共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察を行い、3次元のガラス状態の構造やダイナミクスに関する知見を得ることを目指す。 ハードコア-ソフトシェル粒子系では、DNAがコロイド粒子表面に吸着する様子が観察されており、これを防ぎつつ、より高濃度にDNAのひげを生やせる条件探索を行う。来年度は作成した粒子を前述の方法で濃縮し、準結晶の作成を試みる。さらに、第2の方法であるミクロゲル粒子で表面コートした粒子を作成し、同様に濃縮してその相図の作成を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
粒子濃縮を行わずに重力による沈降を用いて局所的に濃度を高める方法に成功したために、原料として必要な粒子が少量で済んたこと、ならびに解析プログラムの開発を中心に研究を行ったために、本年度の経費が抑えられた。ハードコア-ソフトシェル粒子系では海外のグループが研究を加速させていることもあり、独自性のあるDNAコート粒子の研究を優先させた結果、合成に必要な原料費は次年度に回すことになった。 次年度は3次元構造を研究するため、大量の原料粒子が必要となる点、およびハードコア-ソフトシェル粒子系では合成を必要とするアプローチを次年度に回したこともあり、大量の消耗品のための経費を次年度に回すことで効率的に研究を推進できる。 また、関連する理論的研究グループとの交流を行い、効率的に研究を推進するため、次年度は国内研究打ち合わせ旅費が計画よりも必要となる。
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Research Products
(9 results)