2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25610133
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長沢 真樹子 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (00419847)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 惑星起源・進化 |
Research Abstract |
木星重力と,惑星が形成されたときに存在しているガス円盤の重力を受ける微惑星の運動がどのようなものとなるかを数値計算によって調べた.微惑星は,ガス円盤から抵抗力を受けて,大きさごとに違う速度で太陽の方へと移動していく.典型的な大きさとして,微惑星の半径が10㎞,100㎞,1000㎞の3種類について計算を行った. 微惑星の蒸発は,小惑星帯であれば,ガス円盤との相対速度が2km/sから4km/sで生じる.これは微惑星の離心率に直すと0.3程度の値である.この値は,軌道長半径が4AU(太陽と地球との距離が1AU)程度に存在している小惑星であれば,あまり条件によらずに 容易に達成できることがわかった.これは,5AUにある木星によって天体の運動が強い影響を受けるためである.一方で,4AUよりも太陽に近い微惑星では,ガス円盤の重力を含めた場合には,離心率が0.6程度まで上昇するのに対し,ガス円盤の自己重力が働かない場合は離心率が全く上がらず,両者で異なる運動を示すことがわかった.このため,今後の計算においてはガス円盤の自己重力を含めた計算が必須であると判明した. 木星が太陽の周りを1回公転する間に微惑星が太陽の周りをN回公転するような配置は,N:1の共鳴と呼ばれている.隕石中に含まれるコンドリュールを形成するのに適切といわれているガス円盤との相対速度は10㎞/s程度であるが,これが達成されるのは,3:1共鳴(2.5AU)の領域の付近であることが求められた.つまり,小惑星帯全域で高い相対速度の微惑星が運動をすることとなっていて,確かに小惑星帯においては蒸発現象を考慮するべきである.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微惑星の蒸発は,原始惑星系円盤との相対速度が音速を超えることによる衝撃波加熱によって生じる.蒸発の効果を計算に取り入れるためには,微惑星速度を知る必要があり,平成25年度は多数の微惑星と木星を含む系の運動について重力多体計算から調べる計画であった.そしてその計算をとどこをりなく実行した.当初の予定通り,微惑星の位置と大きさをいくつか変化させながら,最大速度を求めた.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,まず微惑星蒸発過程を実際に数値計算に組み込んで計算を行う.25年度の計算で得た蒸発にもっとも効果的と思われるサイズの氷微惑星を対象として,軌道パラメーターを幾段階か変えながら,軌道運動を計算する.また太陽系外の惑星を考え,木星についても軌道長半径,質量,離心率等のパラメーターを振って,どのような条件でもっとも蒸発の効果が効くかを調べる.最終的に微惑星がどの程度まで解けるか,総量としてどの程度の蒸発物が軌道上のどの位置に分布するかを求める.また,原始惑星を含めた計算,衝突破壊の効果についても検討を行う.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・繰越額が生じた状況 WPI採択に伴う人員移動によって建物内で部屋が不足し,空調を必要とするクラスター計算機の購入を延期したため ・平成26年度分予算とあわせた使用計画 微惑星蒸発についての共同研究者との議論を行うための旅費や研究成果発表の旅費と物品費に充てたい
|
Research Products
(2 results)