2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25610135
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
荒川 政彦 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10222738)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 衝突励起振動 / 微小重力 / 衝突実験 / クレーター / 加速度 / 粉粒体 / レゴリス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,天体表面における微小重力を再現し,その環境下で粉粒体の流動的性質とクレーター形成過程を研究するための微小重力シミュレーターを開発することである.そのために本シミュレーターでは,まず,衝突実験システムと応力・加速度計測システムを構築する.そして,このシステムを微小重力再現装置に組み込むことにする. 平成26年度は平成25年度に完成した応力計測システムを改良して,衝突励起振動を多地点で計測できるシステムを構築した.このシステムを神戸大の縦型衝突装置と宇宙科学研究所の縦型2段式軽ガス衝突装置に設置して,1Gでの衝突実験における計測データを蓄積した.標的には,昨年度と同様に粒径500μmの石英砂を主に用いたが,衝突速度を飛躍的に高速化して実験を行った.直径4.7mmのポリカーボネート弾丸を用いて衝突速度0.2-7km/sでクレーター形成実験を行い,衝突時に発生する衝突励起振動を多地点で計測し,その加速度が距離と伴に減衰する様子を調べた. この結果,当初計画していた小型チャンバーに小型衝突ユニットを組み込んだシステムを自由落下させるよりも,大型の真空チャンバー内に標的容器を落下させるシステムを組み込んだ方が現実的であり,また,衝突条件も広くとれることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は,微小重力シミュレーターの主要部分である落下制御部と小型衝突ユニットを完成させる予定であったが,昨年度から行っている1Gでの実験結果から,当初の設計では問題があることがわかった.すなわち小型衝突ユニットでは弾丸径が3mmと小さく,さらに衝突速度が10~20 m/sに限られるため,衝突で形成されるクレーターは非常に小さい.そのため衝突で発生する応力や衝突励起振動を計測することが,現状のシステムでは困難であることがわかった. そこで既存の縦型衝突装置と大型真空チャンバーを利用して,実験装置を再設計することにした.この新しい設計では,真空チャンバー内に自由落下装置を設置し,既存の衝突装置と連動して標的容器を自由落下させる.神戸大にある縦型衝突装置を利用したシステムでは速度100-200m/sでの衝突が可能であり,この自由落下装置を宇宙科学研究所に持ち込めば1-7km/sでの衝突実験も可能となる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成25-26年度に完成できなかった落下機構を再設計して完成させる.そして既存の衝突実験装置と大型真空チャンバーを利用した装置として微小重力シミュレーターを完成させる.再設計により小型衝突ユニットの製作は必要なくなったが,既存の真空チャンバーに合わせた標的容器の製作が必要となった.さらに昨年度までに準備していた自由落下装置用のフレームも使用できないので,チャンバーに合わせて再製作することになる.衝突過程を高速デジタルビデオで撮影するための光学系とトリガーシステムは,既存の装置を流用することにする. 再製作する標的容器は,予測されるクレーター径より充分大きな(直径20cm 以上)ものを用意する.標的容器が自由落下している間に弾丸が試料表面に着弾できるようにタイミングをとる.このタイミングは既存のレーザー速度計を弾丸が通過した信号を用いて調整する.標的容器には自由落下による重力変化をモニターするための微小重力加速度計と衝突振動を計測するための衝撃加速度計を設置する.また,チャンバー内の限られた高さ(40cm)を自由落下させるための落下装置及びフレームを製作する. 本年度は完成した微小重力シミュレーターを用いて1G-0.1Gの間で衝突実験を行い,衝突励起振動の伝播過程に対する微小重力の影響を調べることにする.
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Causes of Carryover |
自由落下機構を再設計したので,小型衝突ユニットの作製を行わなかった.一方,落下機構のフレームを再製作する必要が生じた.そのために予算を次年度に繰り越すことにした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は,繰り越した予算を用いて自由落下装置用の落下機構を支えるフレームの製作を行う.
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[Presentation] Experimental study on propagation process of impact-induced seismic wave in quartz sand simulating asteroid regolith layer2015
Author(s)
Matsue, K., Arakawa, M., Yasui, M., Matsumoto, E., Tsujido, S., Takano, S., and Hasegawa, S.
Organizer
MISASA V “Comprehensive Exploration of the Solar System: Sample Return and Analysis”,
Place of Presentation
Tottori, Japan
Year and Date
2015-03-06 – 2015-03-08
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[Presentation] Experimental study on the impact-induced seismic wave propagating through granular materials: Implications for a future asteroid mission2014
Author(s)
Yasui, M., Matsumoto, E., Arakawa, M., Matsue, K., and Kobayashi, N.
Organizer
ACM2014
Place of Presentation
Helsinki, Finland
Year and Date
2014-06-30 – 2014-07-04
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